【声明】参院選に向けた緊急メッセージ集
2025/07/13【声明】参院選に向けた緊急メッセージ集
2025年7月13日
アジア女性資料センター
はじめに
物価上昇、上がらない賃金、医療や年金制度の不安、気候変動…いま、多くの人びとが生活に不安を抱えています。それらの原因の多くは、長い時間をかけてつくられてきた経済・政治・社会構造にあります。しかしそうした構造の変革に腰を据えて取り組むよりも、「ズルして利益を得ている誰か」や「十分に生産的でない誰か」を名指し、排除しようとする危険な風潮が、この選挙を通じて、いっそう台頭しつつあります。その先にある世界は、どのようなものでしょうか。
国籍、民族、階層、障害、年齢、教育、ジェンダー、セクシュアリティなどで人びとを分断し、自己責任と競争を強いる世界にするのか。それとも、人びとの間にあるさまざまな差異を尊重し、すべての人が安心して生きられるよう、平等に支える社会の仕組みを作っていくのか。わたしたちは今、重大な岐路に立っています。分断と排除をあおる政治を、今ここで止めるために、行動しましょう。この社会の一員であるのに投票することのできない人たちや、将来世代にも、重大な影響をおよぼす選挙です。投票権がある人はぜひ行使してください。
①生活が苦しいのは「外国人」のせい?
外国人が優遇されているという事実はありません。むしろ多くの人が必要最低限の生活保障にさえアクセスできていないのが現実です。
そうした人たちは、ここで暮らし、仕事をし、税金を払い、何より政治によって大きな影響を受けるにもかかわらず選挙権がありません。外国人に対するデマや差別を煽る「ヘイト政治」を止めるには、あなたのもつ選挙権を行使することが大きな意味をもちます。
#分断あおる政治を止めよう
②生活が苦しい…でも必要なのは税金や社会保障費の負担を減らすこと?
病気、高齢、失業、育児、教育など、誰もが抱えるリスクやニーズに対応し、日本で暮らすみんなの基本的人権を守るためには税金による社会サービスが不可欠です。むしろ見直すべきは、貧困リスクの高い人ほど負担が大きくなってしまう現状のシステムを見直し、すべての人を広く支える公的システムを強化することです。分断をあおり弱い人を切り捨てる「自己責任の政治」を今ここで止めましょう!
7/20は参院選挙へ
③税や社会保障費の負担を減らせば暮らしは楽になる?本当に?
政府は5年間で43兆円もの軍事費増を決めました。一方でわたしたちの暮らしを支える社会サービスや教育のために使われる税金は、先進国の中でも最低レベルです(※)。わたしたちを不安にさせるのはこうした制度の歪みです。「ズルい誰か」のせいではありません。税金は、「減らせ」ではなく、日々の暮らしのために使うよう求めなければいけません。
※2024年度の教育予算は4兆624億円で、先進国では3番目の低さ
④「現役世代が苦しいのは高齢者にお金を使っている」から?
スウェーデンやフランスでは、高齢者にも子育て世帯にも、どちらにも日本より多くの税金を使っています。高齢者のためにお金を使うことは、現役世代にお金を使えない理由にはならないのです。現役世代が苦しいと感じているとしたら、それは高齢者ではなく政治の問題です。
(北明美さん 院内集会「生活が苦しいから税金下げろでいいのか?」を参考に作成)
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今年4月22日、アジア女性資料センターは院内集会「『生活が苦しいから税金下げろ』でいいのか? 「103万円の壁」をめぐる女性と若者の声」を行い、税金や“103万円の壁”についてフェミニズムの視点から批判的に考えました。
今回の参院選挙を見すえて開催したこの院内集会は、7月22日(火)まで無料でご覧いただけます。
視聴はこちらから( https://ajwrc-zeikin.peatix.com/ )。また、以下のURLで、本メッセージ集に関連した参考リンクの紹介をしています。ぜひチェックしてみてください( https://qr.paps.jp/V1fji )。随時更新。