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質屋「銀蔵」性暴力事件:東京地裁で不当判決

2012/02/06

内定を得てアルバイト中の女子学生に対し、質屋「銀蔵」社長と店長が性関係を強要した事件で、東京地裁は1月31日、被告側の言い分をそのまま認め、「合意があった」とする、不当判決を下しました。

被害女性は、在学中の2007年4月に「銀蔵」に内定。厳しい就職氷河期の中で、ようやく希望する仕事が決まったことを喜び、将来の夢に向けて張り切っていました。8月下旬、会社から、卒業まで大阪の店舗でアルバイトとして働かないかとの連絡があり、女性は東京の自宅から、大阪にある会社の寮に移り住みましたが、10月に勤務開始してからわずか1ヵ月半ほどで、社長と店長から相次いで性的関係を強要されました。複数回くりかえされた加害行為に女性は体調を崩し、2008年3月に退社に追い込まれてしまいました。

しかし東京地裁は、内定を得てアルバイト中という不安定な立場の女性に対し、上司2人が同時期に性関係を迫ったこと、リクルート・ホットラインの問い合わせに対し、会社側がいったんは性的関係の強要の事実を認めていたこと、女性が現在もひどいPTSDに苦しんでいるという事実にもかかわらず、「合意があった」という、きわめて不合理な判断を下しました。

判決後に開かれた記者会見で、「働く女性の全国センター」の伊藤みどりさんは、「性暴力被害に遭った女性がすぐに逃げられないのは被害者の落ち度ではない、という判例が、長年かかって積み重ねられてきたにも関わらず、最近の性暴力裁判では『被害者落ち度論』にもとづく判決が相次いでいる」と指摘しました。
また被害女性は「判決はショックだった。この国はセクハラを許しているような環境だと思う。こんな社会で働いていきたいと思わないし、生きているのも嫌です」と話しました。

判決後の記者会見のもよう(動画)はこちらから。
http://www.ustream.tv/recorded/20175988

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