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埼玉県新座市教育委員会:「慰安婦」展の市施設使用を拒否

2015/03/31

埼玉県新座市の市民団体「にいざジェンダー平等ネットワーク」が「慰安婦」をテーマにした中学生向けパネル展の開催を企画し市施設の使用申請をしたところ、市教育委員会に使用を拒否されたことがわかり、複数のメディアが報じている。

パネル展は女性の人権を中学生にもわかりやすく解説することを目的に企画され、パネルは「女たちの戦争と平和資料館(wam)」(東京都)が制作し昨年から希望者に貸し出しているもので、これまで公共施設を含め17か所で展示されている。「日本軍『慰安婦』制度とは」等のQ&A形式のパネルを中心に「慰安婦」制度や元慰安婦の証言を紹介する内容となっている。

市民団体によると、1月に施設使用申請をしたところ、「市教委の許可が必要」との連絡があり、求められたパネル展の資料を提出した。その後2月に市から「使用要領の『啓発的な事業』に該当するため許可できない」と説明されたため、市民団体は不許可撤回を求める請願書を市教委に提出。3月24日の市教委定例会では、教育委員全員がパネルの内容を把握しないまま、「『慰安婦』は小中学生の指導要領にない」「特定団体の考えを公共施設で展示することは好ましくない」等の意見が出され、全会一致で同請願書は不採択となった。
 
市教委は、ロビーの使用要領で許可しないと定めた「啓発的な事業」に該当することを理由と説明しているが、にいざジェンダー平等ネットワーク代表は、「市教委が示した使用要領は市庁舎にある別ギャラリーのもので、同施設は対象外。不許可にする理由がなく納得できない」「自主規制で、 表現の自由の侵害だ」と話している。また近く市教委に抗議文を提出する予定だ。

教育長は「市で使用している中学校向け教科書で触れていない『慰安婦』問題について展示するのはいかがかと判断した」「『慰安婦』は世論を二分している。中学生に向けたアピールについて市教委として判断した」等と説明。

パネルを制作したwamの池田館長は「公共施設が開催を拒否したケースは記憶にない。『慰安婦』は1997年度採択の中学校教科書に掲載されたことがあり、現在も高校の教科書に登場する。抗議を恐れて市教委が自主規制したのであれば由々しき問題だ」と話す。

【報道】
●東京新聞(3/25)新座市教委、「慰安婦」展開催を認めず 市民団体が抗議文 ●朝日新聞(3/26)新座市、「慰安婦」展の施設使用を拒否 市民団体は反発
【参考】
●日本軍「慰安婦」問題解決全国行動の「パネル展キャンペーン」実施中

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