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【北京報告】③V-dayが「慰安婦」問題をスポットライトプロジェクトに

2005/03/03

北京+10報告

2005年3月1日

昨日から、北京+10が始まりました。世界から5.6千人が集まっ
ていると言われているこの拡大CSWには、各団体から2人しか参加でき
ずまた初日のプレナリー(全体会議)には各団体から1人だけしか参加
できませんでした(入れない人のためには、スクリーン付の部屋が用意
されています)。今回のCSWの議長は韓国のカン・キュンファさんとい
う方で、きびきびと議事を進めています。

オープニングには、コフィ・アナンの挨拶があり、北京行動綱領を再
確認する発言をしました。この、北京行動綱領の再確認がひとつのキー
ワードになっていて、これから採択される政治宣言、決議等々で獲得す
る重要な文言になります。2000年会議の時には右派が妨害活動を繰
り広げて大変だったそうで、今回は「No Negotiations」、交渉せ
ず、とにかく北京行動綱領を再確認することがNGOの動きの基本になっ
ています。

そんななか、昨日のアジア太平洋NGOコーカスで知らされたのは、米
国が政治宣言に訂正を求めてきていて、「中絶の権利を含む、新たな国
際的人権を作らないことを確認する」というのを入れろ、と言って来て
いるとのこと。キューバやインドなども訂正を申し入れていたそうです
が、取り下げたとのこと。米国だけがまだ取り下げていません。このよ
うな訂正を各国政府に支持しないように、それぞれ自分の国の政府に働
きかけることになっています。

さて、私にとっての昨日のハイライトは、V-dayが「慰安婦」問題に
スポットライトを当てることを公にするキックオフイベントでした。
CSWにも加害国日本から「慰安婦」問題に取り組んでいる「日本人」が
行かないとまずい・・・と思っていましたが、それは正解だったなあ、
と思いました。

国連ビルの前にあるミレニアム・UNプラザホテルで6時から開かれたそ
のレセプションには、おそらく80人くらいは参加していたでしょう
か。メディアも、CNNやKBS、APなどのほか、6社来ていたようです。

プログラムは、はじめに韓国のダンサーがオープニングに踊りを披露
し、その後、V-dayの創始者(?)であるイブ・エンスラーがフィリピ
ンのロラに会ってから、「慰安婦」問題に取り組もうと思ったこと、シ
ャーロット・バンチが松井さんとの思い出にも触れながら、「慰安婦」
問題が過去のことではなく現在につながる問題であること、シンヘス
が、韓国の状況、アジア女性基金、国際署名運動のことなどのアクショ
ンを、そして私がNHK問題を含めた日本の状況と、資料館建設運動、そ
して日本は「慰安婦」問題に正義をもたらさない限り、国連常任理事国
は許さない!というキャンペーンしよう、と提案しました。メディアの
反応も良く、きた人の多くは関心を示していたようです。今後の取り組
みを具体化する打ち合わせもしなくてはなりません。

昨日の夜からNYは吹雪になっていたので、今日の朝は、一面真っ白。
私が泊まっているセントラル・ハーレムでも、おじさんたちが朝から雪
かきにはげんでいました。

今日の公式日程は、各国政府等の発言が続くプレナリーと、サイド・
イベントです。アジア太平洋地域のコーカスでは、そろそろ右翼系が到
着しているようなので、気をつけるようにとの注意がありました。話し
かけられたら、ちゃんと団体をチェックして、みんなでシェアしよう。
ただ、北京+10には、北京会議に参加登録した団体しか参加できない
ので、活動しなくなった団体の資格を借りてきている場合もあるので、
注意が必要だ、とも。

どんなことをされるのか聞いたところ、たとえば、ワークショップに
大挙しておしかけてきて、わあわあ言って集会を妨害する。そのほかに
は「あなたは家族の価値についてどう考えるの?」と呼び止められて話
しかけられることもあるとか。どこでも右翼対策は大変ですね。

北京会議では、ものすごい量のワークショップが開かれていて、同じ
時間帯に行きたいワークショップがバッティングして困りました。それ
に比べると、ワークショップ自体の数が圧倒的に少ないです。明日は朝
からシンヘスたちと今後の取り組み関する打ち合わせです。

渡辺美奈

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