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連続セミナー「反ジェンダー運動とは何か──揺らぐ多様性の時代に考える 」6~10月開講!

2025/05/06

「反ジェンダー運動とは何か──揺らぐ多様性の時代に考える 」

 

アジア女性資料センター主催
「反ジェンダー運動とは何か──揺らぐ多様性の時代に考える 」
連続セミナー(全6回)開講のお知らせ

 

拡散歓迎!お気軽にご参加ください!
⬇️予約サイト(Peatix)はこちら🔗
https://ajwrc.peatix.com

 

◆趣旨
 「ジェンダーはイデオロギー」「男女という2つの生物学的性別しか存在しない」として、DEI(多様性・公平性・包摂)推進を逆転させる「反ジェンダー運動」と呼ばれる動きが、アメリカをはじめ世界各地で台頭しています。さらにフェミニズムの中からさえ、性別は社会によってつくられるものではなく生まれつき決まっているという保守的考え方が台頭しつつあります。
 しかし「ジェンダー」は、机上の空論ではありません。それは、あたかも不変の自然であるかのように本質化されてきた男女の差異、そして同じように本質化されてきたセクシュアリティ・人種・民族・国籍・障害などが交差する権力関係を読み解き挑戦するために、フェミニズム運動が現実と格闘しながら議論し鍛え上げてきた概念です。
 この連続セミナーでは、「反ジェンダー運動」の台頭を批判的に検証するとともに、フェミニズムやクィアの運動にとって「ジェンダー」概念を獲得し鍛え上げることがなぜ重要かを再考し、困難さを増す政治的状況のなかで、現実に生きる人々への影響や、対抗策を考えていきます。

 

◆講座スケジュール

第1回
6月 26日(木)19:00~21:00【オンライン】
■山口智美さん「日米の保守派による『ジェンダー・イデオロギー』『DEI』攻撃とは」

<内容>
第二次トランプ政権下のアメリカでは「ジェンダー・イデオロギー」との闘いを名目として、DEI(多様性・公平性・包摂性)施策の廃止やトランスジェンダーやノンバイナリーなど性的マイノリティへの差別的政策が進められています。日本でも「ジェンダー」は長年保守派の批判対象であり、アメリカの動向も日本の保守派による言説や政策に影響を及ぼしてきました。アメリカと日本に焦点を当て、保守派による「反ジェンダー」の動きとそのつながりを読み解きます。

山口智美さんのプロフィール写真です<講師プロフィール>

立命館大学教員。文化人類学、フェミニズムを専門とし、現代日本や米国における社会運動研究を行う。米国で約30年間暮らし、昨年日本に帰国。共著に『宗教右派とフェミニズム』、『海を渡る「慰安婦」問題』、『社会運動の戸惑い』など。

 

 

 

第2回
7月31日(木)19:00~21:00【オンライン】
■清水晶子さん「トランスナショナルな右派運動としての反ジェンダー運動」

<内容>
反ジェンダー運動の大きな特徴として、これがトランスナショナルかつ広範にわたる右派運動の重要な結節点として展開されてきている、という点を挙げることができます。現在の反ジェンダー運動の奇妙な先駆けの様相を持っていた2000年代の日本におけるジェンダー・バックラッシュとその前後を想起してもわかることですが、反「ジェンダー」運動は、人種主義とエスノセントリズム、そして反移民感情と、常に連関しています。この回では、現代の右派運動、とりわけ右派ポピュリズムとしての反ジェンダー運動について、考えてみたいと思います。

清水晶子さんのプロフィール写真です<講師プロフィール>

大学教員。専門はフェミニズム/クィア理論。著書に Lying Bodies: Survival and Subversion in the Field of Vision、『フェミニズムってなんですか?』、『読むことのクィア——続 愛の技法』など。繊細で愛情深いトイプードルとお調子者ハバニーズのうちの人。

 

 

第3回
8月28日(木)19:00~21:00【オンライン】
■高井ゆと里さん「反トランスジェンダーとしての『ジェンダー批判』」

<内容>
あらゆる制度・文化がジェンダー化された社会における構造的な性差別を捉えるには、ジェンダーの視点が欠かせない。しかし昨今、そうした蓄積に負うはずの一部のジェンダー/フェミニズム研究者が、ジェンダー概念の妥当性を否定するなどしている。その動機は「女性の安全」を名目としたトランスジェンダー排除だが、その帰結はあまりに自己破壊的である。今講演では、そうした動きにも注目しつつ、反トランスジェンダーとしての反ジェンダー運動について概観する。

高井ゆと里さんのプロフィール写真です<講師プロフィール>
群馬大学准教授。倫理学者。共著に『トランスジェンダー入門』、『トランスジェンダーQ&A』、編著に『トランスジェンダーと性別変更』、翻訳にショーン・フェイ『トランスジェンダー問題』など。

 

 

 

第4回
9月27(土) 19:00~21:00【オンライン】
■井谷聡子さん「『「女に見えない」と言われた選手たち』から読み解くスポーツの性別二元制の政治〜今日への教訓〜」

<内容>
スポーツ界はその近代化の中で「生物学的性別」を定義、ルール化しようと試み、深刻な人権侵害を引き起こしてきた。この回では、今年邦訳が刊行されるマイケル・ウォーターズのThe Other Olympians: Fascism, Queerness, and the Making of Modern Sports が描く1930年代の性別確認検査をめぐる議論と今日の共通点について検討し、スポーツとファシズム、性別二元制について考える。

井谷聡子さんのプロフィール写真です<講師プロフィール>
関西大学文学部教授。専門はスポーツとジェンダー・セクシュアリティ研究。著書に『〈体育会系女子〉のポリティクス―身体・ジェンダー・セクシュアリティ』、共著に『どうして体育嫌いなんだろうージェンダー・セクシュアリティの視点が照らす体育の未来』、責任編集に『エトセトラ Vol.6 特集スポーツとジェンダー』など。

 

第5回
10月30日(木)19:00~21:00【オンライン】
■本山央子さん「ガバナンスのジェンダー主流化~保守主義と新自由主義の間で」

<内容>
coming soon…

本山央子さんのプロフィール写真です<講師プロフィール>
お茶の水女子大学特任リサーチフェロー。フェミニズム、開発、平和、環境の領域で社会運動に関わるかたわら、フェミニスト国際関係・国際政治経済学の視点から安全保障と外交を研究する。

 

 

第6回
■まとめのワークショップ【対面/関東】
12月末予定

<内容>
coming soon…

◆講座詳細

日付:2025年6月〜10月の毎月【最終木曜日】19:00-21:00
*9月のみ土曜日・最終回は12月末(予定)

会場:オンライン(第6回のみ対面開催=関東)
情報保障:Zoomの字幕機能による文字起こし

 

◇開催場所

第1~5回・・・Zoom によるオンライン開催 ※録画配信あり
※録画配信あり(次の回の開講まで、約1ヶ月間ご視聴いただけます)
※情報保障:Zoomの字幕機能による文字起こし

第6回・・・対面(関東/会場未定)

 

参加費(各回ごと)

一般・・・1,500円
学生・経済的事情のある方・・・1,000円
寄付込み・・・2,000円、3,000円、5,000円、10,000円

※第6回のみ、一般¥1,000/学生・経済的事情のある方 ¥500

 

◇チケット購入はこちら(Peatix)
https://ajwrc.peatix.com

 

本セミナーの広報のチラシです。シックな印象のデザインで、黒い画面に赤・青・緑色のモヤがかかったような背景です。文字はすっきりとした白色です。縦書きの大きな文字で「反ジェンダー運動とは何か──揺らぐ多様性の時代に考える」とタイトルが配置されています。その左側に横書きで、講座スケジュールが掲載されています。画面の下4分の1には開催方法や参加費など連続セミナーの詳細がまとめられています。文字情報は投稿の本文に転載しています。

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<お問い合わせ>
アジア女性資料センター 事務局
メール:ajwrc@ajwrc.org
*回答にお時間をいただくことがあります。余裕をもってご連絡ください。

ホームページ:https://www.ajwrc.org/
Peatix:https://ajwrc.peatix.com

 

<アジア女性資料センターのSNS他>
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4・28「屈辱の日」緊急抗議スタンディング  繰り返される在沖米兵による性暴力に抗議します!

2025/04/27

4・28「屈辱の日」緊急抗議スタンディング 

繰り返される在沖米兵による性暴力に抗議します!

日時 2025年4月28日(月)18時-19時

場所 東京・JR新宿駅南口

抗議のバナーを持ってスタンディング
*メッセージのバナーをお持ちください

2025年4月23日、またも在沖米軍兵士による2件の女性への性暴力事件が明らかになりました。
書類送検は7日だったといい、今回も速やかに公表されることはなく、昨年の事件発覚で沖縄内外の女性たちの大きな抗議行動はまたも無視されました。 米軍側は「沖縄との信頼関係を損ねないようにできる限りのことはやり尽くす」と言いましたが、これまでの口先だけの対応を思い起こすと、全く信用できません。 何度も繰り返され、そのたびに心も身も引き裂かれる思いを抱えるのは被害者です。 4月24日に那覇で抗議のデモがあり、4月27日には東京・原宿で抗議行動があります。 沖縄だけではない、たくさんの人が怒っている、その輪を広げたい、抗議の声をあげたい! 私たちも緊急スタンディングを呼びかけることにしました。 4月28日は、サンフランシスコ条約が発効し、日本の独立と引き替えに沖縄・奄美や小笠原が米施政下に置かれ日本から切り離された日。沖縄ではこの日を「屈辱の日」とよびます。米軍が上陸してから80年、米軍による犯罪と性暴力は繰り返されてきました。 もうごめんだ!そんな思いを持ち寄って、ともに抗議の声をあげましょう!

呼びかけ 
ふぇみん婦人民主クラブ
アクティブミュージアム「女たちの戦争と平和資料館wam」
アジア女性資料センター
連絡先:againstmilitaryinokinawa@proton.me

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事務所移転のお知らせ

2025/04/14

事務所移転のお知らせ

いつも関心をお寄せいただきありがとうございます。
この度、センターは下記の住所に事務所を移転致しましたのでお知らせいたします。
郵便物等をお送りいただく際は、新住所へご発送ください。
お手数をおかけしますが、今後ともアジア女性資料センターをよろしくお願いいたします。

〒160-0023
東京都新宿区西新宿3丁目3番13号
西新宿水間ビル2F

特定非営利活動法人アジア女性資料センター
E-mail:ajwrc@ajwrc.org

電話番号:03-6304-0474(お急ぎの方はメールにてご連絡ください)

なお、現在、資料室は非公開で運営しております。資料のご利用は資料館アジア女性資料センターSTORESをご利用ください。

 

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院内集会「生活が苦しいから税金下げろ」でいいのか? 「103万円の壁」をめぐる女性と若者の声

2025/04/02

院内集会

「生活が苦しいから税金下げろ」でいいのか?
「103万円の壁」をめぐる女性と若者の声

院内集会の広報チラシの画像です。文字情報は以下の通りです。 また、「こんな疑問をお持ちの方々もぜひご参加ください」と書かれた下には3人の人物イラストが配置され、「夫や親に「扶養される」ってなに?」「税金下がるって、いいことじゃないの?」「「扶養」ってそもそもなに?」と考えたり困ったりしています。 院内集会「生活が苦しいから税金下げろ」でいいのか?「103万円の壁」をめぐる女性と若者の声 2025年4月22日火曜日 17時から19時 会場:衆議院第2議員会館多目的室 30分前から議員会館の入り口で入館証を配布します。 主催:NPO法人アジア女性資料センター 連絡先:ajwrc@ajwrc.org 賛同団体を募集中です!上記連絡先までお知らせください。 インスタグラム:@AJWRC 当日の様子はライブ配信予定! 発言者への質問も できます! 発言者 竹信三恵子さん(ジャーナリスト) 北明美さん(福井県立大学 名誉教授) 能條桃子さん(NO YOUTH NO JAPAN) 唐井梓さん(学費値上げ反対緊急アクション) その他賛同団体一言アピール ※ここから院内集会の概要文が続きます。  賃金上昇を上回る物価高騰のなか、「暮らしが苦しいから税負担を引き下げろ」という声が高まっており、国会では「103万円の壁」をめぐって交渉が続いています。  しかし「103万円の壁」は、もともと女性の働き方を低賃金パートに押しとどめてきた装置でした。「壁」をどれだけ引き上げて個人の手取りを増やすかだけに議論を集中させれば、自己責任論の強化を招き、もっとも支援が必要な人たちに社会サービスが届かず、貧困に陥る危険をかえって高めてしまいます。 むしろ、女性や若者を夫・親に扶養される存在として位置づける制度自体が、経済的な脆弱性を生み出してきたのではないでしょうか。  必要なのは、ケアや学業を行うことそのものへの財政的支援です。そして、「どうせ税金を払っても適切に使われない」という根深い政治不信を超えて、政治をわたしたちの手に取り戻していくことが不可欠です。  この集会では、「『被扶養』からケア・学びの保障へ」を合言葉に、高まる税ポピュリズムと政治不信のなかで、本当の意味で人々を広く支えるための税・社会保障に向けた課題について考えます。  どうぞ気軽にご参加ください。

 

 賃金上昇を上回る物価高騰のなか、「暮らしが苦しいから税負担を引き下げろ」という声が高まっており、国会では「103万円の壁」をめぐって交渉が続いています。

 

しかし「103万円の壁」は、もともと女性の働き方を低賃金パートに押しとどめてきた装置でした。「壁」をどれだけ引き上げて個人の手取りを増やすかだけに議論を集中させれば、自己責任論の強化を招き、もっとも支援が必要な人たちに社会サービスが届かず、貧困に陥る危険をかえって高めてしまいます。むしろ、女性や若者を夫・親に扶養される存在として位置づける制度自体が、経済的な脆弱性を生み出してきたのではないでしょうか。

 

必要なのは、ケアや学業を行うことそのものへの財政的支援です。そして、「どうせ税金を払っても適切に使われない」という根深い政治不信を超えて、政治をわたしたちの手に取り戻していくことが不可欠です。

 

この集会では、「『被扶養』からケア・学びの保障へ」を合言葉に、高まる税ポピュリズムと政治不信のなかで、本当の意味で人々を広く支えるための税・社会保障に向けた課題について考えます。どうぞ気軽にご参加ください。

 

発言者

竹信三恵子さん(ジャーナリスト)

北明美さん(福井県立大学 名誉教授)

能條桃子さん(NO YOUTH NO JAPAN

唐井梓さん(学費値上げ反対緊急アクション)

その他賛同団体一言アピール

 

日時:4月22日(火)17:00〜19:00

会場:衆議院第2議員会館多目的室

30分前から議員会館の入り口で入館証を配布します。

 

オンライン:YouTube同時配信
https://www.youtube.com/watch?v=H2zjCsirRqY
情報保障:UDトーク(校正あり/会場・オンラインともに)

 

主催:NPO法人アジア女性資料センター

連絡先:ajwrc@ajwrc.org

賛同団体を募集中です!フォームまたは上記連絡先までお知らせください。

https://forms.gle/oRJDaigc9Y2GSf787

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国連女性差別撤廃委員会への資金拠出停止に抗議し、撤回を求める声明

2025/02/05

PDFはこちら▼

CEDAW拠出金停止への抗議声明_20250205

国連女性差別撤廃委員会への資金拠出停止に抗議し、撤回を求める声明

2025年1月29日の北村俊博外務報道官会見において、外務省は、国連女性差別撤廃員が対日審査最終見解において皇室典範改正を勧告したことに対する措置の一つとして、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に対する任意拠出金の使途から同委員会を除外することを通告したことを明らかにした。私たちはこの決定に対し、以下に述べる理由から強く抗議し、撤回を求める。

皇室に関わる事柄は普遍的人権基準の対象外でありCEDAWは触れるべきでないという政府の主張は、日本国内においてしか通用しえない論理である。この政府見解の妥当性を国際人権基準との関係において検討する機会は、日本の市民に保障されなければならない。

CEDAWを含む国連人権機関の加盟国審査は、専門家委員会と政府、そして市民社会との間の建設的対話を促すことが目的である。勧告に異論があれば、文書や対話の機会を通じて反論や説明を尽くすべきであろう。政府は文書でも説明してきたと主張するが、議論を尽くしたとは言い難いにも関わらず、拠出停止の通告という強硬手段に訴えることは、日本が有する経済力の濫用であり、CEDAWに対するあきらかな威圧・恫喝である。

日本政府は近年、ジェンダー平等・女性の権利のための外交を推進していると主張してきた。だが今回の、自国に対する勧告を理由にCEDAWに圧力をかけるようなやり方は、日本によるジェンダー・女性外交が実際には国際公益のためでなく、自国益追求の道具にすぎないことを露呈している。

今年2025年は北京行動綱領採択から30年、女性・平和・安全保障決議から25年など、女性の権利に関する重要な節目であるが、反動保守勢力の国際的な台頭により、これまでの進展が損なわれる危険が高まっている。国際的に法の支配や多国間枠組みの維持を訴えていくべき立場にある日本が、CEDAWの活動を尊重せず、むしろ脅かすような行為をとることは、外交政策における著しい一貫性の欠如を示しているだけでなく、国際的にも重大な否定的影響をおよぼしかねない。

CEDAWとの建設的対話は、日本政府だけのものでなく市民社会にも開かれたプロセスであることをあらためて強調したい。このたびの政府決定の不透明さは、市民社会に対する説明責任の観点からも容認しがたいものである。

わたしたちはCEDAW拠出金に関する日本政府の決定に強く抗議し、ただちに撤回を求めるとともに、どのようなプロセスで今回の決定がなされたのか明らかにするよう求める。

2025年2月5日

NPO法人アジア女性資料センター

 

 

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【こんな本を編集しました 001】花束書房・伊藤春奈さん『帝国主義と闘った14人の朝鮮フェミニスト―独立運動を描きなおす』

2024/11/27

「こんな本を」シリーズの画像。 以下のテキストが改定あります。 こんな本を書きました/編集しました/読みました アジア女性資料センター 『帝国主義と闘った14人の朝鮮 フェミニスト―独立運動を描きなおす』 花束書房・伊藤春奈さん

 

アジア女性資料センター新連載企画!

いつもご関心をお寄せいただきありがとうございます。この度、アジア女性資料センターではHP上の新連載コーナーとして「こんな本を 書きました/編集しました/読みました」シリーズを開始します。初回の今回は、今年9月に出版された話題書『帝国主義と闘った14人の朝鮮フェミニスト―独立運動を描きなおす』(花束書房)を編集した花束書房・伊藤春奈さんに、本書の魅力を力強く語っていただきました。

「敬意」をつなぐ―100年前から足元の現在まで―

 今年9月、『帝国主義と闘った14人の朝鮮フェミニスト―独立運動を描きなおす』(尹錫男:絵、金伊京:著、宋連玉・金美恵:訳、花束書房)を出版した。韓国フェミニズムアートの第一人者である尹錫男(ユン・ソンナム)さんと、作家の金伊京(キム・イギョン)さんが組んで生まれた本だ。帝国日本の植民地支配と闘った14人の朝鮮女性を、肖像画とともに、一人称、三人称、インタビュー形式、ドキュメンタリー、手紙など、14人それぞれに異なる叙述方式で鮮やかに描きだしている。

 ふたりの作家の熱意と敬意ゆえか、絵も文章もフェミニズムに満ちているのがうれしい。運動内のセクシズムやメディアによる揶揄や蔑視、家父長からの重圧など、女性たちが怒りを燃やし、闘う対象はいまと変わらない。何人かは、決意とともに名前を自ら名乗り直しているのもフェミニズム的だ。意志をたたえたまなざしに、自由をつかもうとするような大きな手、自ら選んだ装いにあゆみ、そして刻みつけた言葉――読むほどに、14人それぞれが心を揺さぶってくる。

 翻訳者の宋連玉さん、金美恵さんと本書を作りながら私がつねに考えていたのは、「相手への敬意」である。そこには、「相手に近づきたい」「理解したい」「痛みを知りたい」といった願いが含まれる。帝国日本の暴力や家父長の支配のもと、家父長制と植民地支配の両方と闘わなければならなかった14人は、多くが植民地下で拷問の後遺症などで病死し、あるいは解放直後に亡くなっている。生き残った数人も家族や仲間と離散するなど、平穏な余生を送ることはかなわなかった。いまに続く困難で複雑な現代史を思いながら、14人それぞれの生をもっともよく表せる文体を模索して、さまざまな叙述が採られたのだろうと考えるようになった。と同時に、早くから帝国日本との戦いを強いられた朝鮮人の長きにわたる抵抗運動、内部での軋轢も経たフェミニズムの底力に、何度も圧倒された。民衆の手で社会を変えていく、民主主義を獲得していくとはこういうことなのかと胸が熱くなり、さらに敬意が募る。その繰り返しで本ができあがったように思う。

 本書のプロジェクトについて解説する「まえがき」、そこに呼応するような日本版の「翻訳者あとがき」からも、「相手への敬意」は響いてくる。とくにあとがきでは、邦訳出版の経緯や日本社会で世に出すことの意味だけでなく、訳者おふたりそれぞれの個人史と本編とのつながりが示される意味は大きい。個人の生に、南北分断や現代史、冷戦の残滓が否応なく絡んでくること、100年前の朝鮮女性たちと地続きの歴史をいまも生きていること。日本版は訳者あとがきまで含めて「完成」するのであり、本書が読者とは切り離された「かつてあった歴史」の本ではないことが、おわかりいただけると思う。

 

 刊行まもない時期から、とりわけウクライナやパレスチナのために運動する人たち、フェミニストにいち早く反応していただき、熱い支持を受けていることに訳者ともども喜んでいる。戦争と虐殺と分断の時代にあって、本書が日本社会の惨状を変えるささやかな動き――卵で岩を穿つように――となれば幸いです。

 

 

『帝国主義と闘った14人の朝鮮フェミニスト―独立運動を描きなおす』

独立運動を闘った多彩な朝鮮女性を、韓国フェミニズムアートの第一人者・尹錫男(ユン・ソンナム)と作家・金伊京(キム・イギョン)が、圧倒的な読み応えでよみがえらせた歴史ノンフィクション。 信念を曲げず、真の自由を切望した女性たちの言葉とあゆみは、何度も運動としてよみがえり、社会を変えてきました。 また、いまの私たちと地続きの性差別と闘った姿にもぜひ注目を。韓国フェミニズムのルーツともいえる歴史を知って、植民地主義とフェミニズムの関係を考えてみませんか。

著者:尹錫男(画),金伊京(著),宋連玉(訳),金美恵(訳)

出版:花束書房

 

◆花束書房オンラインストア

https://hanatabasyobo.stores.jp/items/66a74b50bb9777002b7b56ee 

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12/2(月)米軍性暴力の不処罰を許さない学習会

2024/11/21

米軍性暴力の不処罰を許さない学習会
日本国憲法から見た日米地位協定の問題点

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「米兵による性暴力と情報隠蔽を許さない外務省前スタンディング」(7月2日)、「女を利用した軍事化と米軍性暴力の不処罰を許さない院内集会」(9月2日)呼びかけ、開催した3団体で、以下の学習会を企画しました。

またもや起きた、沖縄の国頭村への米軍ヘリ不時着。防衛相は米軍による報告に基づき、「不時着」ではなく、「予防着陸」で、安全確保だったと強調しています。
https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2024/1115a.html

基地・軍隊をなくしていく一歩として、日米安保と日米地位協定の基本を知るための学習会に、ぜひご参加ください。

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米軍性暴力の不処罰を許さない学習会
日本国憲法から見た日米地位協定の問題点

繰り返される米兵による犯罪、米軍基地をめぐる騒音や環境問題。住民の暮らしが脅かされ、人権が侵害されてもなお、米兵の犯罪は処罰されず、米軍基地から垂れ流されるPFASなど有害物質の調査さえ十分にできません。その構造的な理由の1つとしてあげられるのが「日米地位協定」です。日米地位協定は、そもそもどのような経緯で結ばれたのでしょうか?
講師の永山茂樹さんは、今年6月に外務省による隠蔽事件が明らかになってすぐ、憲法学者の声明を準備したお一人です。日米地位協定を規定する「日米安保体制」とは何か、という基本を押さえつつ、米軍の性暴力の不処罰が続く構造的な問題にいてお話しいただきます。

講 師:永山茂樹(東海大学法学部教員)
日 時:2024年12月2日(月) 18:30-20:30
場 所:千駄ヶ谷コミュニティセンター サークルルーム3&4
    定員50人、JR原宿駅から徒歩5分
    https://sendagaya-cc.jp/#home
情報保障 ノートテイクをご希望の方はご連絡ください
参加費:800円
お申込み:https://forms.gle/m2kFfGvDWsFZLsVcA

講師紹介:ながやま しげき
専門は憲法学(平和主義)。共編著に『国家安全保障と地方自治 「安保三文書」の具体化ですすむ大軍拡政策』(自治体研究社、2023年)、『緊急事態と憲法』(学習の友社、2020年)、『国会を取り戻そう!議会制民主主義の明日のために』(現代人文社、2018年)ほか、論文多数。

共催:ふぇみん婦人民主クラブ、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam
協力:アジア女性資料センター
連絡先:againstmilitaryinokinawa@proton.me


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日本語版&英語版「JAWW NGOレポート —北京+30に向けて」ができました

2024/11/21

日本語版&英語版「JAWW NGOレポート —北京+30に向けて」ができました

来年は1995年の「国連世界女性会議」(北京会議)から30年の節目です。
この30年、日本におけるジェンダー平等はどのように達成されたのか/達成されていないのか、特に2020年(北京+25)以降を総括するレポート『JAWW NGOレポート —北京+30に向けて』が発刊されました。

北京行動綱領の12領域に新しい領域を加えた合計22領域について、日本におけるジェンダー平等の課題と進展を、市民活動の立場からレビューしたレポートです。

アジア女性資料センターでは、代表理事・本山が【女性と武力紛争】のテーマにて執筆しています。以下のリンクやPDFから、ぜひともご一読ください。日本語版チラシも添付します。

◆日本語版 ※印刷媒体で有料での頒布
https://jaww.info/news-detail.php?id=130

チラシ: https://www.ajwrc.org/wordpress/wp-content/uploads/2024/11/130-3.pdf 

◆英語版 ※PDFで無料でおよみいただけます
webサイト: https://jaww.info/news-detail.php?id=133
PDF: https://jaww.info/doc/JAWW-NGO-Report-2024.pdf

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【English Ver.】Urgent Statement Protesting Sexual Violence and Information Cover-Up by US Forces in Okinawa

2024/10/18

Urgent Statement Protesting Sexual Violence and Information Cover-Up by US Forces in Okinawa

 

July 2, 2024

In December 2023, a US Air Force captain in Okinawa assaulted a local girl. In March 2024, the press revealed that the Naha District Public Prosecutor’s Office had indicted him on charges that included sexual assault. Although the Ministry of Foreign Affairs was aware of this incident by March 27, 2024, with the filing of the indictment, the Ministry did not share relevant information with the Okinawa Prefectural Government until June 25, 2024. This can only be considered a willful withholding of information to avoid this becoming an issue in the June 17 Okinawa Prefectural Assembly election and to avoid influencing the June 23 Okinawa War Memorial Ceremony, which was attended by the Prime Minister and US military personnel. Additionally, while there have there have been many other incidents of sexual violence by US soldiers in addition to this current assault, we have seen a corresponding trend in which the police seem to be increasingly reluctant to release information.

 

We strongly protest the US military and the Japanese government for allowing sexual violence by US military personnel to occur again and again. We also strongly protest the concealment of information by the Japanese government, in particular the use of “victims’ privacy” as a pretext for such concealment. Not only is it possible to share information with local governments and citizens while respecting victims’ privacy, this sharing of information is essential in order to eradicate all forms of sexual and gender-based violence.

 

Among the various human rights violations brought about by US military bases, sexual violence has continued to be rendered invisible because of stigma against the victims and a judicial system that makes light of sexual violence. It is unacceptable for the government to weaponize “victims’ privacy” as a shield to conceal necessary information. It counters all the efforts of Okinawan feminist organizations that have been uncovering the obscured damages and the efforts of many people who have been working for a justice system that protects the rights of all victims of sexual violence. We demand an investigation that clarifies why there was a delay in the relaying of information to Okinawa Prefecture and also what is behind the larger trend of police nondisclosure related to such incidents not only in Okinawa Prefecture but in all areas in which military bases are located.

The Government of Japan today actively promotes “Women, Peace, and Security” Agenda based on UN Security Council Resolution 1325. Equal participation of women in decision-making related to peace and security is at the core of this resolution, and requires a transparent and democratic decision-making process. We recognize that military state security up until now has been built upon gender-based discrimination, violence, and colonialism. We demand that peace and security decision-making reflect the voices of citizens, particularly those of citizens most directly affected.

We strongly protest the US and Japanese governments’ prioritization of national security, which has led to the obfuscation, dismissal, and toleration of sexual and gender-based violence by military personnel. We stand in solidarity with the people of Okinawa who do not tolerate any kind of sexual violence and fight against the imposition of military bases.

 

➡︎日本語の声明はこちらからご覧いただけます
【声明】在沖米軍による性暴力および情報隠蔽に抗議する緊急声明

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【参加募集中!】アジア太平洋フェミニストフォーラム(APFF)参加報告&ディスカッション「軍事主義と植民地主義を克服するフェミニズム運動へ」

2024/09/20

アジア太平洋フェミニストフォーラム(APFF)
参加報告&ディスカッション
軍事主義と植民地主義を克服するフェミニズム運動へ

10月5日(土)に久しぶりのオフラインイベントを開催します!
みなさまとお話できることを楽しみにしております。ふるってご参加ください!

広報チラシのオモテです。ポップな色とフォントで構成されています。写真はチェンマイでのフォーラムや主催ワークショップの様子を写したものが大きく配置されています。 アジア太平洋フェミニストフォーラム(APFF)参加報告&ディスカッション 軍事主義と植民地主義を克服するフェミニズム運動へ 日時:10月5日(土)14:00~16:30 会場:品川ステーションビル5F ふれあい貸し会議室 ※エレベーターあり ※タイ土産のお菓子つき ※事後配信未定

 

9月12~14日の3日間、タイのチェンマイでアジア太平洋フェミニスト・フォーラム(APFF)が開催されました。アジア女性資料センターからは4名が参加し、「アジアにおける軍事化とフェミニストのトランスナショナルな抵抗」をテーマにしたワークショップを行いました。10月5日は、フォーラムとワークショップについてくわしく報告します。また今後もアジア・太平洋のフェミニストたちとつながり、軍事主義と植民地主義を解体していくために、日本で取り組むべき課題は何か──会場に集まった皆さんと共に、これからのフェミニズム運動について一緒に考えてみたいと思います。

 

日時:10月5日(土)14:00~16:30

会場:ふれあい貸し会議室 品川ステーションビル5F
(JR山手線 品川駅 高輪口より約3分)
   ※エレベーターあり
   ※事後配信未定

参加費:無料(カンパ歓迎)
    ※タイ土産のお菓子つき

内容(予定)
・フォーラムで共有されたビジョン
・ワークショップの報告
・ファシリテーターの3人が考えたこと
・参加者の皆さんとのディスカッション
※終了後に近隣会場にて交流会を予定(自由参加)

 

★申し込みはこちら!:https://forms.gle/LttiJNhvtnAdirFK7 

 

問い合わせ:アジア女性資料センター事務局(mail ajwrc@ajwrc.org
※回答にお時間をいただく場合がありますので余裕をもってご連絡ください。
※情報保障が必要な方は、お手数ですが9/28(土)までにご連絡ください。可能な限り検討いたします。

【本事業は一般財団法人大竹財団の助成および個人の方々からのご支援により実施されています。記して感謝申し上げます】

 

広報チラシのウラです。オモテと同じポップな雰囲気で、イベントの情報がチェンマイでの写真とともに配置されています。 9月12~14日の3日間、タイのチェンマイでアジア太平洋フェミニスト・フォーラム(APFF)が開催されました。アジア女性資料センターからは4名が参加し、「アジアにおける軍事化とフェミニストのトランスナショナルな抵抗」をテーマにしたワークショップを行いました。10月5日は、フォーラムとワークショップについてくわしく報告します。また今後もアジア・太平洋のフェミニストたちとつながり、軍事主義と植民地主義を解体していくために、日本で取り組むべき課題は何か──会場に集まった皆さんと共に、これからのフェミニズム運動について一緒に考えてみたいと思います。 イベントの内容(予定): フォーラムで共有されたビジョン/ワークショップの報告/ファシリテーターの3人が考えたこと/参加者の皆さんとのディスカッション
※終了後に近隣会場にて交流会を予定(自由参加) 参加費:無料(カンパ歓迎) 問い合わせ:アジア女性資料センター事務局(mail ajwrc@ajwrc.org) ※回答にお時間をいただく場合がありますので余裕をもってご連絡ください。 ★申し込みはこちら https://forms.gle/LttiJNhvtnAdirFK7  ※情報保障が必要な方は、お手数ですが10/28(土)までにご連絡ください。可能な限り検討いたします。

ニュース

【報告】9.2院内集会「『運用改善』で終わらせない!女を利用した軍事化と米軍性暴力の不処罰を許さない」 開催報告

2024/09/10

9.2院内集会「『運用改善』で終わらせない!
女を利用した軍事化と米軍性暴力の不処罰を許さない」開催報告
※期間限定・事後配信リンクあり

9/2会場の様子

日時: 2024年9月2日 16時半-18時半

場所: 衆議院第一議員会館

主催: ふぇみん婦人民主クラブ、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、アジア女性資料センター

 

 2024年9月2日、院内集会「『運用改善』で終わらせない! 女を利用した軍事化と米軍性暴力の不処罰を許さない」を開催しました。会場には約160名が集まり、怒りの強さ、関心の高さがうかがえました。

 

 まずはアジア女性資料センター代表理事・本山より院内集会に先立って挨拶を行い、次に、台風をくぐりぬけ沖縄からはるばる駆けつけてくださった「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の宮城晴美さんより講演していただきました。

 「沖縄の米軍性暴力、何が問題か 性犯罪の実態調査から見えてきたもの」というタイトルの元、宮城さんご自身の調査による被害の実態を示しながら、基地問題の中では性暴力がいかに不可視化されてきたか、戦後から現代にいたるまでの歴史について改めて指摘し怒りを共有していただきました。

 

 その後はリレートークへ。「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来を作る会」共同代表の石嶺香織さんは、沖縄での生活に根ざした危機感のもと、政府が「プライバシー保護」を言い訳として性暴力を隠蔽してきたことが問題であると訴えました。

 

 さらに「沖縄を孤立させず、日本政府の情報隠しに抗議し自治と分権を求める地方議会議員の会」や、名古屋学院大学教員・憲法学者有志の会の飯島滋明さん、「基地・軍隊はいらない4.29集会」実行委員会の與儀睦美さんも参加し、性暴力に怯えて生きなければならない沖縄の日常や、日米地位協定の問題点について触れ、今もって解決に至っていない基地の問題点を明確にしました。

 

 当日は飛び入りコメントとして、長崎県でも発覚した米軍の性的暴行事件隠蔽に抗議する「佐世保女性ネットワーク」支援者、そして2022年7月に神奈川県逗子市で起きた米兵による無差別暴行事件への抗議活動を根強く続けている市民、また本問題に取り組む国会議員の方々からも発信がありました。

会場入り口の様子です。椅子の背にこの日のポスターとUDトークのQRコードガ貼り付けられています。

文字起こしアプリ「UDトーク」による情報保障も行いました。

 

★集会における発言者の詳細な訴えと会場の熱量については、動画(※期間限定配信)にてぜひともご確認ください。

【視聴期限:2024年10月10日(火)まで】

ご視聴はこちらから→  https://vimeo.com/1006516084/772773905e 

*外部サイト(動画配信サービスVimeo)で開きます。

 

ニュース

【締め切りました】(9/9月)「無自覚」な日本の軍事化を考えるフェミニストワークショップ

2024/08/28

「無自覚」な日本の軍事化を考えるフェミニストワークショップ

9/9(月)にワークショップイベントを開催します!ふるってご参加ください!

9.9ワークショップイベントの広報画像です。

お知らせ画像

 

〜アジア太平洋フェミニストフォーラム(APFF)事前ワークショップ開催のおしらせ〜

アジア女性資料センター(AJWRC)では、「日本の見えない軍事化」をテーマにしたワークショップ(以下:WS)を開催します。本WSは、今年9月中旬にタイで開催する「アジア太平洋における軍事化と国境を超えるフェミニスト抵抗」WS(*アジア太平洋フェミニストフォーラム(APFF)にてセンターが主催するWS)に連なるものであり、アジア太平洋地域のフェミニストと連帯する活動でもあります。知らず知らずのうちに軍拡と軍事的な価値観とが浸透する「軍事化」に抵抗していくために、いま日本という地にいる私たちが考えていくべきことは何か? 具体的な事案から日常のモヤモヤにいたるまで、言葉にし行動にうつすためには何が必要なのか? まずはワークショップに参加することから始めてみませんか?

※当日は少人数のグループに分かれ、オンラインホワイトボード(miro)を使って進めます。事前のご準備は不要です。

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「無自覚」な日本の軍事化を考えるフェミニストワークショップ

主催:アジア女性資料センター

日時:2024年9月9日(月) 18:00~19:30

場所:オンライン開催(Zoom)

参加費:無料 ※定員15名程度

対象:どなたでも歓迎

問い合わせ:アジア女性資料センター(mail:ajwrc@ajwrc.org)

※回答にお時間をいただく場合がありますので余裕をもってご連絡ください。

申し込みはこちらから!(https://forms.gle/4LaaqcDsKB4nDZNv7

※情報保障を必要とする方は、大変お手数ですが3日前(9/5(木) 23:59)までに申し込みフォームよりご連絡ください

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ニュース

APFF派遣ファシリテーター決定!&カンパのお願い

2024/08/09
カンパのお願いの画像 「アジア太平洋フェミニストフォーラム(APFF)」2024 in チェンマイへの派遣ファシリテーター2名が決定しました!意気込みコメントも到着! アジア女性資料センター

カンパのお願い

先月に募集のお知らせをしました、「派遣ファシリテーター」としてチェンマイに送り出す若手フェミニスト2名が決定しました!

ページの最後におふたりからのコメントを掲載します。

おふたりには来月9月12日〜14日にタイのチェンマイで開催の「アジア太平洋フェミニストフォーラム(APFF)」にてセンターが開催する、「アジア太平洋における軍事化と国境を超えるフェミニスト抵抗」をテーマにしたワークショップのファシリテーターをともに担っていただきます。

つきましては、みなさまに派遣費用(渡航費・宿泊費)のカンパをいただけますと大変に幸いです。ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

ーカンパ先詳細ー

●郵便振替口座

00150-1-263953

名義:特定非営利活動法人アジア女性資料センター

●銀行口座

三菱UFJ銀行 渋谷支店 (普)0559831

名義:トクテイヒエイリカツドウホウジンアジアジョセイシリョウセンター

(特定非営利活動法人アジア女性資料センター)

ご寄付をいただいた方にささやかなをタイお土産をお届けしますので、ご寄付の際には事務局宛(ajwrc@ajwrc.org)にメール等でご一報頂けますと幸いです

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◆恵実さんコメント

「ファシリテーターに選んでいただき光栄です。ワークショップを通じて、アジア地域のフェミニストとアイデアを共有し、国境を越えた軍事化への抵抗を強めたいです。この貴重な機会を活かせるよう精一杯頑張ります!」

◆ゆみさんコメント

「このような貴重な機会にファシリテーターとして携わらせていただけることを心から嬉しく思っております。参加者の方との対話や交流から力を得て、ワークショップを成功させたいです。APFFへの参加を通じ、インターセクショナリティとポストコロニアルな視座を重視したフェミニズムを思考する契機にもできたらとも思っています。」

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何卒、ご支援のほどよろしくお願いいたします!

 

【本事業は、一般財団法人大竹財団の助成金を受けて実施しています】

ニュース

(9/2月)「運用改善」で終わらせない!女を利用した軍事化と米軍性暴力の不処罰を許さない院内集会

2024/08/08

9/2(月)「運用改善」で終わらせない!
女を利用した軍事化と米軍性暴力の不処罰を許さない院内集会

院内集会の呼びかけ画像です。暖色系のグラデーションでデザインされています。「運用改善」で終わらせない!女を利用した軍事化と米軍性暴力の不処罰を許さない院内集会 2024年9月2日(月)16:30-18:30 *16時から通行証を配布します 場所:衆議院第一議員会館 多目的ホール(東京都千代田区永田町 最寄り:東京メトロ国会議事堂前駅、永田町駅) *UDトークあり 【概要】7月2日「在沖米軍による性暴力事件の隠蔽を許さない!」外務省正門前緊急スタンディングのその後、7月5日に政府は「運用改善」策を発表しました。しかしそれは単に日米両政府が1997年に合意した在日米軍による 事件・事故の通報手続きを確認するのみで、再発防止のための施策はなんら発表していません。 二度とこのような性暴力被害をうまないためにも、何が起こってきたかをしっかりと知る必要があります。沖縄での米兵による女性への性犯罪調査を続けてきた宮城晴美さんをお招きした院内集会を開催します。ぜひご参加ください。 【お話】宮城晴美さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会) 「『沖縄・米兵による女性への性犯罪調査』から見えてきたもの」(仮題) ほか、リレートークを予定。 【参加費】無料(カンパ歓迎) 【呼びかけ】ふぇみん婦人民主クラブ、アジア女性資料センター、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam) 【問い合わせ(メール)】againstmilitaryinokinawa@proton.me

呼びかけ画像

7月2日の外務省正門前緊急スタンディング「在沖米軍による性暴力事件の隠蔽を許さない!」には多くの方々にご参加いただきありがとうございました。

その後、7月5日に政府は「運用改善」策を発表しましたが、それは単に日米両政府が1997年に合意した在日米軍による事件・事故の通報手続きを確認するのみで、再発防止のための施策はなんら発表していません。

二度とこのような性暴力被害をうまないためにも、何が起こってきたかをしっかり知る必要があります。今回は、沖縄での米兵による女性への性犯罪調査を続けてきた宮城晴美さんをお招きした院内集会を開催します。みなさまぜひご参加ください。

 

【8/28更新 追加スピーカー続々です!】

\院内集会が来週月曜日に迫ってきました/

お知らせしていた宮城晴美さんのほかにも、リレートークのスピーカーとして以下のみなさんがゲストに決まりました。

6月25日の事件発覚後にアクションを起こしてきた憲法学者や地方自治体議員、そして宮古島とはオンラインでつなぎます。なにごとも、まず知ることから。多くの方のご参加をお待ちしています。

ぜひ、以下の情報を広くお知らせください!

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「運用改善」で終わらせない!
女を利用した軍事化と米軍性暴力の不処罰を許さない院内集会
*UDトークあり

日 時:2024年9月2日(月) 16:30-18:30 *16時から通行証を配布します。

場 所:衆議院第一議員会館 多目的ホール
(東京都千代田区永田町 最寄り駅:東京メトロ国会議事堂前駅、永田町駅)
◆お 話
宮城晴美さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会)
「沖縄・米兵による女性への性犯罪調査」から見えてきたもの
◆リレートーク

・飯島滋明さん(名古屋学院大学教員)*憲法学者有志の会の声明について

・石嶺香織さん(元宮古島市議)*軍事化が進む現状をオンラインで報告予定

・「沖縄を孤立させず、日本政府の情報隠しに抗議し自治と分権を求める地方議会議員の会」からメッセージ

・與儀睦美さん(基地・軍隊はいらない4.29集会実行委員会)

 

参加費:無料(資料代として500円いただけると大変幸いです)

 

呼びかけ:ふぇみん婦人民主クラブ
アジア女性資料センター
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
**********************
●7/2の外務省スタンディングの様子はこちら
●また、今般の事件については、宮城さんのインタビュー記事がNHKに掲載されています。ぜひご一読ください。
「相次いで発覚した米兵性暴力事件」(前編・後編)
https://www.nhk.or.jp/okinawa/lreport/article/001/78/
https://www.nhk.or.jp/okinawa/lreport/article/001/84/

アドボカシー・キャンペーン

9月/タイで「軍事化とジェンダー」ワークショップ開催が決定!「派遣ファシリテーター」を募集します。

2024/07/14

アジア女性資料センターロゴ。クリーム色の背景に、AJWRCと書かれている。Wが人のように生き生きとしている。

9月12日~14日まで、タイのチェンマイにて「アジア太平洋フェミニストフォーラム(APFF)」(https://apwld.org/events-page/apff/ )が開催されます。 アジア女性資料センターは、APWLD(Asia Pacific Forum on Women, Law and Development)の加盟団体として「アジア太平洋における軍事化と国境を超えるフェミニスト抵抗」をテーマにしたワークショップを開催します。その運営チームとして参加の意欲がある方(1~2名)を、アジア女性資料センターの費用負担で派遣します!

 

◆ファシリテーターの役割◆

  • ワークショップ運営チームのメンバーとして実施前の打ち合わせ、準備に参加すること
  • 9月12日~14日のフォーラムに参加し、ワークショップの準備とファシリテーションを他のメンバーとともに担当すること
  • 帰国後のフォローアップ活動に参加すること

 

※フォーラム参加費$100は自己負担となります。その他の渡航・宿泊にかかる費用はアジア女性資料センターが負担します。

 

◆派遣ファシリテーター応募条件◆

  • ワークショップのチームメンバーとして、他の共催者と連絡しながらコーディネートとフォローアップに関わることができる
  • 英語でのコミュニケーションに堪能であること
  • アジア地域の軍事化とジェンダーに関心をもっていること
  • アジア女性資料センターの会員でなくても可
  • ただしセンターの活動にシンパシーをもち、今後もセンターの活動およびAPWLDとの活動に関わる意欲があること。
  • ワークショップのファシリテーション、フェミニズムや平和に関わる市民活動に関わった経験があることが望ましい
  • 若手(30代まで)の方を優先します

 

◆応募・問い合わせ◆

応募される方は、件名を『ファシリテーター応募』としたうえで、

お名前とご住所、応募の動機、今まで関わった活動、英語を使った活動の経験について簡単に記載したもの(A4サイズ1枚程度~上限は特になし)を、

7月28日(日)23時59分までajwrc@ajwrc.org までお送りください。

形式は自由です。面接のうえで決定します。

※いただいた個人情報は、派遣ファシリテーター採用とワークショップ開催に関する連絡以外には使用いたしません。

 

ご質問・ご不明点は ajwrc@ajwrc.org までお寄せください。

(折り返しが遅くなる場合もございますので、お早めにお問い合わせください)

 

◆ご寄付のお願い◆

派遣費用のご寄付をお願いしております。以下の口座まで、みなさまのご協力をよろしくお願いいたします。

ご寄付をいただいた方には、タイ帰国後にささやかなをお土産をお届けするほか、ワークショップ終了後には会員向けにオンラインで報告会を開催する予定です!

→報告会のお知らせはこちら

※ご寄付の際には、事務局宛(ajwrc@ajwrc.org)にメール等でご一報頂けますと大変に幸いです。

  • 郵便振替口座
    00150-1-263953
    名義:特定非営利活動法人アジア女性資料センター
  • 銀行口座
    三菱UFJ銀行 渋谷支店 (普)0559831
    名義:トクテイヒエイリカツドウホウジンアジアジョセイシリョウセンター(特定非営利活動法人アジア女性資料センター)

 

以上、みなさまのご応募お待ちしております!

また、派遣ファシリテーターには応募できないが関連するセンターの活動に関わりたいといった方もお気軽にご連絡ください!

ご寄付・カンパもどうぞよろしくお願いいたします。

 

【本事業は、一般財団法人大竹財団の助成金を受けて実施しています】

ニュース

【報告】 「在沖米軍による性暴力事件の隠蔽を許さない!外務省正門前スタンディング」を行いました

2024/07/03
在沖米軍の性暴力と情報隠蔽に抗議する外務省正門前スタンディング 2024年7月2日火曜日 18時から19時 @外務省正門前(雨天決行) 呼びかけ団体 アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam) アジア女性資料センター(AJWRC) ふぇみん婦人民主クラブ 抗議直前まで呼びかけ団体を募っています。フォームにご記入ください。 https://forms.gle/3px4FXaXu73LGdLd7

呼びかけ画像

 昨日7/2(火)18時〜「在沖米軍による性暴力事件の隠蔽を許さない!外務省正門前スタンディング」を行いました。アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、ふぇみん婦人民主クラブ、アジア女性資料センター(AJWRC)をはじめとする全134の呼びかけ団体※の呼びかけで集まった、約350人の参加者とともにリレートークや抗議声明の発表を行いました。
※呼びかけ団体の一覧はこのページの最後に掲載します。

スタンディングの様子。後ろまで多くの参加者の列が続いている。

スタンディングの様子。さまざまな年代の参加者が集った。

 リレートークでは、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代さんや、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの青木初子さん、ウォリアーズ・ジャパンのジェーン・フィッシャーさん、社民党の福島みずほさんなどが駆けつけ、「被害者のプライバシー保護」を情報隠蔽の口実にすることや日米地位協定の問題性、基地と人権との矛盾について訴えました。

青木初子さんのスピーチの様子。「米軍による少女への性暴力許さん!日本は卑劣/基地は沖縄から出て行け!!/軍事植民地化拒否する」と書かれた大きなポスターを掲げながらマイクを握る。

青木初子さんのスピーチの様子

 最後にアジア女性資料センター代表理事の本山より抗議声明を発表し、「今後とも、私達は情報隠蔽の実態・理由を明らかにしていくために政府、特に外務省への申し入れなどの抗議アクションを引き続き考えていきたいと思います。また皆様にもご協力をお願いするかと思いますので、お知らせを注視していただければと思います。」と発表を締めました。「性暴力の隠蔽を許さない!」と皆で声を合わせ、スタンディングを終えました。

 またセンターとしての新たな試みとして、文字起こしアプリ・サービス「UDトーク」による情報保障を行いました。体制やスキルが不足する中、インスタグラムを中心に情報保障ボランティアを募集し、6名からご連絡・情報提供・現地でのUDトーク編集のご協力をいただきました。

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呼びかけ団体一覧(7/3 最終版)

アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、アジア女性資料センター(AJWRC)、ふぇみん婦人民主クラブ、シングルマザーのつながるネット まえむきIPPO、エトセトラブックス、WILPF京都、ActNow!!Kagawa、平和を考え行動する会、沖縄への偏見をあおる放送をゆるさない市民有志、ATTAC japan(首都圏)、多摩ほうせんか、平和憲法を守る荒川の会、バスストップから基地ストップの会、立川自衛隊監視テント村、JCA-NET、盗聴法に反対する市民連絡会、全労協女性委員会、こころネットワーク、Activists for all、沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤー、沖縄の基地を考える会・札幌、平和憲法を守り、行動する神奈川女性の会、沖縄に応答する会@あきた、本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会、日韓反核平和連帯・福岡、沖縄に応答する会@山形、日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク、G7広島サミットを問う市民のつどい、すべての基地に「NO!」を・ファイト神奈川、相模補給廠監視団、非核市民宣言運動・ヨコスカ.ヨコスカ平和船団、レイバーネットねりまの会、性暴力禁止法をつくろうネットワーク、全国フェミニスト議員連盟、日韓民衆連帯委員会、辺野古新基地問題を考える川越の会、本と喫茶 サッフォー、I女性会議、軍拡NO!女たちの会・北海道、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、平和を学ぶ会 台東、Stop!辺野古埋め立てキャンペーン、反安保実行委員会、反差別国際運動(IMADR)、やさしいまちをつくる会きたく、モッシューもうセクハラを許さない女たちの会・ながさき、足立・性的少数者と友・家族の会、あつまれ辺野古500人行動、アイム89 Aの会、アジア連帯講座、チバリヨ~辺野古応援団、東京・強姦救援センター、許すな!憲法改悪・市民連絡会、ティーチイン沖縄、日本基督教団西中国教区基地問題特別委員会、辺野古への基地建設を許さない実行委員会、時を見つめる会、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、アダンの会、沖縄のたたかいと連帯する東京南部の会、Monthly「ちゃぶ台」各銘舎、フラワーデモ北九州、日野・生活者ネットワーク、市川市平和委員会、Compass(ジェンダー平等社会を目指す盛岡市民の会)、安保法制の廃止をめざす中野アピール実行委員会、怒り━━沖縄の米兵性暴力を許すな0712準備チーム、ハイナンNET、フラワーデモ埼玉、島じまスタンディング、JFOR日本友和会・首都圏ブロック、市民と政治をつなぐ江東市民連合、STOP大軍拡アクション、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、市民連合めぐろ・せたがや運営委員会、「憲法」を愛する女性ネット、『反天ジャーナル』編集委員会、天皇制問題情報交換会、平和をつくる大和市民の会、沖縄が気になる私たちの会、ウィメンズ・アクション・ネットワーク、基地・軍隊はいらない4・29集会実行委員会、表現の自由を市民の手に全国ネットワーク、沖縄の映画を観よう!かわさき、島ぐるみ会議と埼玉を結ぶ会、下町23シスターズ、「女の平和in長崎」、合意してないプロジェクト、町田•生活者ネットワーク、語やびら沖縄 もあい練馬、SOSHIREN女(わたし)のからだから、川崎から日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民の会、女性参政権を活かす会、公益財団法人ジョイセフ、RAWAと連帯する会、戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会、研究所テオリア、女性ホームレスグループ・ノラ、福岡•戦争に反対する女たち、人権の21世紀をつくる文化のつどい実行委員会、NPO法人フェミニストカウンセリング東京、NO BASE STOP RAPE 黙ってら連、安保関連法に反対するママの会@ちば、#なんでないのプロジェクト、部落解放同盟東京都連品川支部、(公財)日本キリスト教婦人矯風会、北京JACふくおか、日本YWCA、Praise the brave、ストップ秘密保護法かながわ、一般社団法人Colabo、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会、共同行動のためのかながわアクション、SRHRユースアライアンス、ノースドック配備反対ネットワークかわさき、フェミブリッジ@福岡、フェミブリッジ北九州、沖縄戦の史実歪曲を許さず沖縄の真実を広める首都圏の会、(一財)アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)、NPO法人コミュニティ・ネットワーク・ウェーブ、いのちと暮らしを守る女たちの会・梨の木舎、W7ジャパン2023実行委員会、生活ニュースコモンズ、緑フォーラム、日本平和委員会、Hawai’i Peace and Justice、Community member from Hawai’i、Our Common Wealth 670、International Peace Bureau、戦没者の遺骨を遺族のもとへ連絡会、沖縄を再び戦場にさせない県民の会、新時代アジアピースアカデミー(NPA)、Prutehi Litekyan Save Ritidian (記入順・全134団体)

呼びかけに加わった様々な団体に感謝するとともに、主宰3団体は性自認に基づく差別や性暴力の被害者に対するあらゆる差別に反対しています。現場でそのような行為があった場合はグランドルールに則り離脱をお願いする場合があります。

 

アドボカシー・キャンペーン

【声明】在沖米軍による性暴力および情報隠蔽に抗議する緊急声明

2024/07/03

在沖米軍による性暴力および情報隠蔽に抗議する緊急声明

 2023年12月、在沖米空軍兵長による少女への性暴力事件が 発生し、2024年3月には那覇地検が不同意性交等の容疑で起訴していたことが、報道で明らかになりました。また今回、外務省は那覇地検が起訴した3月27日までに事件を把握していたにもかかわらず、6月25日まで沖縄県に情報を共有していませんでした。これは6月17日投開票の沖縄県議会議員選挙での争点化を避けるため、かつ、6月23日の首相や米軍関係者が参列する沖縄戦慰霊式典への影響を避けるための情報隠蔽としか考えられません。今回の事件以外にも米兵による性暴力事件は多発してきたにもかかわらず、近年、警察が情報を公表しない傾向が強くなっていることも指摘されています。

 私たちは、米兵による性暴力が何度も繰り返される状況を許してきた米軍及び日本政府に強く抗議します。また、日本政府による情報隠蔽、特にその口実として「被害者のプライバシー」が利用されることに強く抗議します。被害者のプライバシーに配慮しつつ情報を自治体・市民と共有することは可能であるばかりでなく、あらゆる性暴力、ジェンダーに基づく暴力を根絶するためにも不可欠です。

 米軍基地がもたらすさまざまな人権侵害の中でも、性暴力は、被害者に対するスティグマや、性暴力を軽視する司法制度のために、不可視化される傾向が続いてきました。埋もれた被害を掘り起こしてきた沖縄のフェミニスト団体の努力、また、あらゆる性暴力被害者の権利が守られる司法制度をめざしてきた多くの人びとの努力にもかかわらず、政府が「被害者のプライバシー」を盾に、必要な情報を隠蔽することは許されません。なぜ沖縄県への情報伝達が遅れたのか、警察が事件を公表しなくなっている傾向の背景に何があるのか、沖縄県にとどまらず基地があるすべての地域を対象に調査し明らかにするよう求めます。

 日本政府は現在、国連安保理決議第1325号にもとづき、「女性・平和・安全保障」の積極的推進を掲げています。この決議の核心は、平和・安全保障に関わる意思決定への女性の平等な参加であり、そのためには透明で民主的な意思決定プロセスが不可欠です。わたしたちは、これまでの軍事的国家安全保障が、ジェンダーにもとづく差別・暴力と植民地主義の上になりたってきたことを認識し、市民、とりわけ直接影響を受ける人々の声が平和・安全保障の意思決定に反映されるよう求めます。
 わたしたちは、国家安全保障を優先して、軍人による性暴力・ジェンダー暴力を不可視化し、過小評価し、許容してきた日米両政府に強く抗議します。あらゆる性暴力を許さず、基地押し付けと闘う沖縄の人たちと連帯します。

 

2024年7月2日 在沖米軍による性暴力事件の隠蔽を許さない!
抗議スタンディング 参加者一同

 

抗議声明をそのまま画像にしたものです

緊急声明(画像)

 

★7/2(火)にアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、ふぇみん婦人民主クラブ、アジア女性資料センター(AJWRC)の呼びかけで、外務省前スタンディングを行いました。報告記事はこちら

 

ニュース

(7/2)在沖米軍の性暴力と情報隠蔽に抗議する外務省正門前スタンディング

2024/06/30

在沖米軍による性暴力事件の隠蔽を許さない!
外務省正門前スタンディングにご参加を

※7/2 2:00追記:呼びかけ団体一覧(7/2 0:00現在)とグランドルールを公開しました!このページの最後に掲載します。

※7/3 追記:開催報告はこちら

在沖米軍の性暴力と情報隠蔽に抗議する外務省正門前スタンディング 2024年7月2日火曜日 18時から19時 @外務省正門前(雨天決行) 呼びかけ団体 アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam) アジア女性資料センター(AJWRC) ふぇみん婦人民主クラブ 抗議直前まで呼びかけ団体を募っています。フォームにご記入ください。 https://forms.gle/3px4FXaXu73LGdLd7

 2023年12月、在沖米空軍兵長による少女への性暴力事件が起こり、2024年3月には、那覇地検が不同意性交等の容疑で起訴していたことが6月25日の報道で明らかになりました。外務省は遅くとも起訴がなされた3月27日までには事件を把握していたにもかかわらず、沖縄県に情報を共有していなかったことが明らかになっています。このほかに今年1月から5月末までに少なくとも3人が不同意性交罪容疑で摘発されたと報道されています。

 わたしたちは、日本政府が「被害者のプライバシー」をもちだして県との情報共有を怠ったことに強く抗議します。被害者のプライバシーに配慮しつつ情報を自治体・市民と共有することは可能であるばかりでなく、あらゆるジェンダー/性暴力を根絶するためにも不可欠です。今回のことは、選挙における争点化を避けるための隠蔽としか考えられません。また基地に関わるジェンダー/性暴力の実態を見えなくさせるものです。

 米軍による性暴力を国家安全保障のために容認し続けている日米両政府に抗議
し、被害者のプライバシーを口実とする情報隠蔽の責任を追求します。ぜひご参加ください。

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日時:2024年7月2日(火) 18時~19時
場所:外務省正門前(地下鉄・霞ヶ関駅) *雨天決行
内容:抗議のリレートーク、声明の発表など
情報保障:UDトーク

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呼びかけ団体
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam
アジア女性資料センター(AJWRC)
ふぇみん婦人民主クラブ

*スタンディング直前まで呼びかけ団体を募っています。以下のフォームに記入ください。
https://forms.gle/3px4FXaXu73LGdLd7

 

★呼びかけ団体一覧(7/2 0:00現在)

呼びかけ団体一覧(7/2 0:00現在)の画像です。 シングルマザーのつながるネット まえむきIPPO、エトセトラブックス、WILPF京都、ActNow!!Kagawa、平和を考え行動する会、沖縄への偏見をあおる放送をゆるさない市民有志、ATTAC japan(首都圏)、多摩ほうせんか、平和憲法を守る荒川の会、バスストップから基地ストップの会、立川自衛隊監視テント村、JCA-NET、盗聴法に反対する市民連絡会、全労協女性委員会、こころネットワーク、Activists for all、沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤー、沖縄の基地を考える会・札幌、平和憲法を守り、行動する神奈川女性の会、沖縄に応答する会@あきた、本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会、日韓反核平和連帯・福岡、沖縄に応答する会@山形、日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク、G7広島サミットを問う市民のつどい、すべての基地に「NO!」を・ファイト神奈川、相模補給廠監視団、非核市民宣言運動・ヨコスカ.ヨコスカ平和船団、レイバーネットねりまの会、性暴力禁止法をつくろうネットワーク、全国フェミニスト議員連盟、日韓民衆連帯委員会、辺野古新基地問題を考える川越の会、本と喫茶 サッフォー、I女性会議、全国フェミニスト議員連盟、軍拡NO!女たちの会・北海道、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、平和を学ぶ会 台東、Stop!辺野古埋め立てキャンペーン、反安保実行委員会、反差別国際運動(IMADR)、やさしいまちをつくる会きたく、モッシューもうセクハラを許さない女たちの会・ながさき、足立・性的少数者と友・家族の会、あつまれ辺野古500人行動、アイム89 Aの会、アジア連帯講座、チバリヨ~辺野古応援団、東京・強姦救援センター、許すな!憲法改悪・市民連絡会、ティーチイン沖縄、日本基督教団西中国教区基地問題特別委員会、辺野古への基地建設を許さない実行委員会、時を見つめる会、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、アダンの会、沖縄のたたかいと連帯する東京南部の会、Monthly「ちゃぶ台」各銘舎、フラワーデモ北九州、日野・生活者ネットワーク、市川市平和委員会、Compass(ジェンダー平等社会を目指す盛岡市民の会)、安保法制の廃止をめざす中野アピール実行委員会、怒り━━沖縄の米兵性暴力を許すな0712準備チーム、ハイナンNET、フラワーデモ埼玉、島じまスタンディング、JFOR日本友和会・首都圏ブロック、市民と政治をつなぐ江東市民連合 (記入順)

★グランドルール

このスタンディングではトランス差別を含むあらゆる差別を禁止します。
お時間あるときに、グランドルールをご一読のうえ、ご参加ください!

01 見た目で、相手のジェンダー、セクシュアリティ、国籍、母語、アイデンティティ等を決めつけないようにしましょう。 03 相手を威圧するような言葉遣いや態度は やめましょう 困ったことがあったら スタッフへお声がけください 写真撮影とSNSへのアップ等は、原則トークエリアのみにしてください。ただし、トークエリアでスピーチしている人でも、撮影NGの人は写さないでください。  参加者のお顔やプライバシーがわかるものを写したりする場合には、必ずその方に許可を取ってください。主催者は記録のためにトークエリアのみ撮影・録音をさせていただきます。 外務省正門前スタンディング グランドルール 本日のスタンディングを、誰にとっても安全で安心できる場にするために、以下のグランドルールを守ってご参加ください。守っていただけないと呼びかけ3団体が判断した場合には、その場から離れることをお願いする場合があります。 あらゆる差別・ハラスメント のない安全な場にしましょう ジェンダー、セクシュアリティ、性自認、国籍、人種、年齢、障がいの有無、話す言葉、出身地、雇用状況などに基づく差別的な発言や行為は行わないように気をつけましょう。特に性暴力被害者について属性などで決めつける発言は絶対にしないでください。 見た目で決めつけ ないでください 写真撮影にはご注意を 当日はUDトークによる情報保障をする予定です。その他に困ったこと等があったら、スタッフにご連絡ください(スタッフは首から「スタッフ」と書かれた札を下げています)。

ニュース

《後編》髙谷幸「フェミニズム・クィア視点から入管体制を考える」──入管体制と交差的な抑圧

2024/06/02

 去る2024年2月11日、アジア女性資料センターは「フェミニズム・クィア視点から入管体制を考える」と題したワークショップイベントを行った。

 イベントではゲストスピーカーとして、髙谷幸さん(社会学者)、宮越里子さん(デザイナー)、リモートで仮放免者のAmbeyさんをむかえ、会場・オンラインの双方で参加者による活発なディスカッションが交わされた。

 本記事は、このイベントでの髙谷幸さんの発表を前・後編にまとめたものである。後編では、入管体制がどのようにジェンダーやセクシュアリティと関係しているのか、在留資格や家族帯同を認めない技能実習制度の問題からお話しいただいた。最後には、現在国会で審議されている、永住許可の取り消し法案が女性移民におよぼす影響も示される。

 

☆前編はこちら

髙谷さんのご発表の様子。長机に髙谷さんが座っている。

髙谷幸さん

 

◆入管体制と交差的な抑圧

 それでは入管体制はジェンダーやセクシュアリティとどのように関係するのでしょうか。

 まずは前提として、その外国人がどんなジェンダーやセクシュアリティであろうと在留管理制度のなかに放り込まれます。しかし、その影響は個々人のジェンダーやセクシュアリティによって異なることがあります。

 入管体制がどのように特定のジェンダーやセクシュアリティを抑圧しているかというと、まずは【図2】のタテ軸のように、入管体制自体の決まりによるものがあります。そのなかには一見するとジェンダー・セクシュアリティ・身体に対して中立なものも、特定のジェンダー・セクシュアリティを規範的/非規範的と規定するものもあります。

【図2】入管体制と交差的な抑圧

 例えば在留資格で言うと、留学のビザの条件が「一定期間の中等教育を受けた人が取れる」となっているとすると、これ自体は特にジェンダーやセクシュアリティに関係していない感じがします。

 対して、特定のジェンダーやセクシュアリティを予定しているような在留資格もあります。「日本人の配偶者等」は日本人と結婚した人に認められる在留資格ですが、法的な結婚をしないとこの在留資格は認められませんので、これは[同性婚ができない現状を踏まえると]異性愛的なものを想定した在留資格だと言えます。

 また在留資格以外で言うと入管体制の中には〈収容所(※4)というものもあるのですが、収容エリアは男女別にはっきりと分かれており、これも特定の身体のあり方を前提にしていると言えます。

※4 非正規滞在などで退去強制手続きの対象になった人を収容する施設。東日本入国管理センター(茨城県牛久市)や大村入国管理センター(長崎県大村市)などがある。地方の収容場も含め、入国者収容所での死亡事件や人権侵害が数十件以上報告されている。長期にわたる収容に対し、民間による面会支援なども行われている。

 同時に、入管体制は社会の中で機能しているわけですから、【図2】のヨコ軸のように社会の中の他の制度領域におけるジェンダー・セクシュアリティ差別も関連してきます。これにも強く絡み合ってるものと、そこまで絡み合っていないものがあり得ます。

 例えば、先ほどの〈入管収容所〉というのは社会から隔絶したところに閉じ込められますので、他の制度領域や社会規範との関係は弱いと言えます。

 一方で「永住者」資格など各種の在留資格は日常生活に関わってくるため社会の異性愛規範などの影響を強く受け、関係が強いと言えます。次に話す技能実習制度もこちらに位置します。

 

◆技能実習生の孤立妊娠・出産問題

 まず技能実習生の孤立妊娠・出産の問題は、私の考えでは究極的に言えば家族帯同を認めない受け入れ制度であることに端を発していると思っています。家族帯同は技能実習生がどんなジェンダーやセクシュアリティを持っていようと認められていません。そういう意味では中立的です。

 しかし頼れる家族が身近にいないことに加え、送り出し機関、日本の監理団体や受け入れ企業、パートナー、周りの人といった社会的な関係のなかでも、さまざまな理由で技能実習生は孤立していきます【図3】。これによって深刻な影響を受けるのは、結局のところ女性や妊娠した技能実習生なのです。 

 例えば、孤立出産する実習生のパートナーが実習生であることも少なくないのですが、パートナーも会社に言えなくて困ることもあります。しかし、産むか産まないか、帰るか帰らないか、技能実習を続けられるのか、という大きな不安は妊娠した実習生自身に押し寄せるのです。

【図3】妊娠・出産した実習生を取り巻く状況

 つまりこれは「家族帯同を認めない」という一見すると中立的な制度が、日本社会や送り出し社会の中のジェンダーやセクシュアリティ差別と結びついて[非中立的に]機能しているということだと思います。

 技能実習生の孤立出産では熊本のリンさんのケースが大きく報道されましたが、実は他にもいろいろあります【図4】。どれもほぼ似たようなケースです。ですので技能実習生が孤立出産に陥りやすいことは間違いないのです。

【図4】技能実習生の孤立妊娠・出産問題

 

◆「永住者」資格の取り消しの女性移民への影響

 最後に、ここ数日(※5)話題になっていますが、今年また入管法が改定されると言われています。この法案は実習制度を廃止して、育成就労という別の制度を作ることが目玉のひとつにはなっていますが、それに合わせて永住者の在留資格を取り消すことができる法規定が盛り込まれていると報道されました(※6)。税金や社会保険を払わない場合などに、永住許可の取り消しを可能にすることを検討しているのです。

※5 2024年2月11日時点。

※6 朝日新聞デジタル「税や保険料を納めない永住者、許可の取り消しも 政府が法改正を検討」(2024年2月5日)など。

 これもやはり、女性に影響を与える可能性があるのではないかというのが私の考えです。なぜかというと、まずひとつは、そもそも永住者に占める女性の割合は約60%と高いのです。それは1980年代から2000年代にかけて、国際結婚で日本に来て定住した人に女性が多く、その人たちが永住者数の一定の割合を占めているからです。

 またその女性たちはその後、日本社会のジェンダー不平等によって[女性が担うことの多い]ケア労働を中心に担ってきました。子どもがある程度大きくなったらパートをして暮らしています。これは日本人と似たようなパターンと言えます。最近では配偶者が高齢化して死別したり、すでに離別したシングルマザーや単身の世帯も増えています。さらに言うと、近年ではその女性たち自身も高齢化しています。年金なども払っていますが免除の制度がきちんと伝わっていない場合もあります。

 こうして経済的に不安定なために税金や社会保険を滞納する人は、多くの場合、払えと言われても払えない人が多いのです。そういう人はやはり[経済的に不安定な立場に置かれがちな]女性が多いのではないかと思います。

 こう考えると、やはり永住者資格の取り消しもまた、それ自体は中立的な制度案ですが日本社会におけるジェンダーやクィア差別と結びついた形で、実際には女性やクィアに不利な効果を持ってしまう可能性もあるのではないかと思います。

 

◆発表をふりかえって

 現在、上に述べた、永住者の在留資格取り消し規定を含む入管法改定案が国会で審議されています。またこの法案には、技能実習制度を廃止し、育成就労という新しい制度を創設することも盛り込まれています。しかし育成就労においても、労働者の家族帯同は認められていないので、孤立妊娠・出産の問題は変化しない懸念があります。この法案とその後の行方について注視していく必要があります。

 

◆筆者紹介

髙谷幸(たかや・さち)

東京大学大学院人文社会系研究科教員。専門は社会学・移民研究。著書に『入管を問う—現代日本における移民の収容と抵抗』(共著、人文書院、2023年)、『追放と抵抗のポリティクス—戦後日本の境界と非正規移民』(ナカニシヤ出版、2017年)、『移民政策とは何か—日本の現実から考える』(編著、人文書院、2019年)、『多文化共生の実験室—大阪から考える』(編著、青弓社、2022年)など。

ニュース

《前編》髙谷幸「フェミニズム・クィア視点から入管体制を考える」──入管体制と人生の管理

2024/06/02

 去る2024年2月11日、アジア女性資料センターは「フェミニズム・クィア視点から入管体制を考える」と題したワークショップイベントを行った。

 イベントではゲストスピーカーとして、髙谷幸さん(社会学者)、宮越里子さん(デザイナー)、リモートで仮放免者のAmbeyさんをむかえ、会場・オンラインの双方で参加者による活発なディスカッションが交わされた。

 本記事は、このイベントでの髙谷幸さんの発表を前・後編にまとめたものである。以下の前編では、「入管体制」や「在留管理制度」がいかにして人々の人生を管理しているのかをお話しいただいた。

 

★ワークショップイベントの開催報告はこちらから!

発表をする髙谷幸さん

髙谷幸さん

 

◆イントロ

 みなさんこんにちは。髙谷と申します。私からはこの「フェミニズム・クィア視点から入管体制を考える」というテーマでどういうふうに考えられるかという全体的なことを、発題のような形で素材提供をしたいと思います。

 私は入管や日本の移民についての研究をしてきました。そのなかで移民女性の研究もしています。なのでこのテーマに関心は持っていましたが、難しそうだなと避けていた面もありました。今日はみなさんと一緒に考える機会にできたらと思っています。

 

◆入管体制とは

 入管体制という言葉は「出入国在留管理庁による外国人管理の総体」をあらわす言葉で、1970年代くらいから使われるようになりました。これは占領期の入管令に起源があり、外国人と治安管理をむすびつける発想(※1)からつくられ、維持されてきました。そして今に至ります。

※1 外国人と治安管理をむすびつける発想は、私たちの身近にもしみついている。例えば、外国人が起こした事件がニュースになるたびにSNSなどで「日本は治安が悪くなった」という根拠のない話が盛り上がるケースなど。

 入管体制は、実際の外国人の生活に様々なレベルで作用しています。外国人にとってとくに大きな意味を持つのが〈在留資格〉と〈在留管理制度〉です。これらは〈出入国管理及び難民認定法〉いわゆる入管法のなかに定められています。入管庁が外国人を管理するときの主な手段がこれら3つです。

 まず日本に暮らしている外国人には在留資格が付与されることになっています。それは日本国籍を持っている人にとってはなじみがないものかもしれません。しかし外国人の場合は、持っている在留資格の種類によって日々の活動(※2)に強い制約がかかります。「なにをやっていい」また「どれぐらいの期間やっていい」ということが在留資格の種類によって決まっていて、明示的あるいは非明示的に、さまざまなかたちで実際の日常生活が制限されるのです。

※2 ここでいう活動とは、日本国内で生活をするときにおこなうこと全般を指すが、入管がチェックするのは主に「仕事」と「学業」(留学の場合)である。在留活動。

 

◆在留管理制度とは

 つまり〈在留管理制度〉というのは、[在留資格によって外国人の生活を制限することで]「日本という社会空間において外国人がいるべき位置と期間を定め、その位置に応じて行為や関係性、権利、自由を制約する制度」だと言えます。

【図1】それぞれの在留資格の強さ

 

 【図1】は、それぞれの在留資格が持つ強さを図にしています。〈日本国籍〉を頂点として、その下に全部で30以上ある在留資格が序列になっています。最も安定した在留資格は〈永住者〉です。また在留資格がない人も「在留資格がない」ということをもって在留管理制度のなかに組み込まれています。例えば仮放免者はその典型で、在留資格はありませんが「仕事をしてはいけない」などの制約・管理を受けています。

 このように、在留資格によって進路選択や仕事、出産や子育て、県外への移動(※3)など、本当に生活のひとつひとつに制約がかけられています。つまり、これは外国人の社会移動やその選択に影響し、ひいては人生の可能性をも制限するというのは想像に難くありません。社会移動とは仕事でのステップアップや職業移転、学校を卒業して仕事をすることなど、ライフステージの移動のことです。

※3 仮放免の人には就労の禁止のほか、居住県外への移動も制限されている。

 例えば日本国籍の人だったら、学校を卒業してまだ進路が決まっていないから、ぷらっとアルバイトしながら考えてもいいかな?みたいなことを考えますね。日本国籍者にはそういう選択肢が当たり前にある。一方で、外国籍者にはその「当たり前の選択肢」が制限されている。留学生の場合、就職活動の期間は1年くらいであれば伸ばせますが、それでもやはり次にやる仕事の内容が、次に与えられる在留資格に合った内容でないと日本にいられなくなります。将来を想像するときにまず「在留資格はどうなるんだろう」ということから苦慮しないといけないのです。

◆後編ではいよいよ、入管体制がどのようにジェンダーやセクシュアリティと関係しているのか、在留資格や家族帯同を認めない技能実習制度の問題からお話しいただきます。最後には、現在国会で審議されている、永住許可の取り消し法案が女性移民におよぼす影響も示されます。

 

★後編はこちらから!

 

 

◆筆者紹介

髙谷幸(たかや・さち)

東京大学大学院人文社会系研究科教員。専門は社会学・移民研究。著書に『入管を問う—現代日本における移民の収容と抵抗』(共著、人文書院、2023年)、『追放と抵抗のポリティクス—戦後日本の境界と非正規移民』(ナカニシヤ出版、2017年)、『移民政策とは何か—日本の現実から考える』(編著、人文書院、2019年)、『多文化共生の実験室—大阪から考える』(編著、青弓社、2022年)など。

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