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東京都の男女平等参画審議会委員に高橋史朗氏が!

2006/05/01

本日5月1日の午後、第3期「東京都男女平等参画審議会」の委員名簿が発表されました(東京都生活文化局発表)。その一人になんと、男女平等に反する数々の問題発言や「新しい歴史教科書をつくる会」の活動で知られる高橋史朗氏の名前が!
東京都の男女平等政策をいっそう後退させるこの決定に、アジア女性資料センターも参加して、急ぎ、下記の憂慮声明を出しました。高橋氏に関する資料もあわせて掲載していますので、スクロールしてご覧ください。

声明賛同の方法や、記者会見等、今後の行動予定については、明日以降お知らせしていきますので、ひきつづきご注目ください!

ウェブサイトhttp://www.cablenet.ne.jp/~mming/against_GFB_2.html
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東京都知事石原慎太郎殿                   2006年5月1日
東京都生活文化局長殿

憂慮声明

本日、東京都は、第3期「東京都男女平等参画審議会」の開催と、委員全25名を発表しました。
この審議会は、東京都が2000年4月1日から施行している「東京都男女平等参画基本条例」に基づき、東京都の男女平等参画行動計画その他男女平等参画に関する重要事項を調査審議するために設置される、知事の付属機関です。
東京都では現在「男女平等参画のための東京都行動計画・チャンス&サポート東京プラン2002」を指針として男女平等参画施策が進められていますが、この行動計画は今年度末で実施終了期限を迎えます。本日発表された第3次審議会は、この5年間の行動計画実施状況を振り返り、評価し、新たな次期行動計画策定に向けた答申をまとめるという、いわば東京都の男女平等参画施策の方向付けを決める重要な役割を帯びています。

私たちは、その名簿の中に、「高橋史朗」氏の名前があることを知り、大変驚きました。
高橋氏の男女平等に対する認識や、それに関わる発言、彼の名によって発表された文書などは、ことごとく東京都男女平等参画条例に反するものといわざるを得ません。そのような人物が「東京都男女平等参画審議会」委員として加わることは、今後の東京都の男女平等参画施策の行く末に、大きな問題を引き起こすのではないかと憂慮します。

 東京都では、条例施行後も、男女平等推進基金の一般財源化を財政困難という理由のもとに実行し、また審議会等委員への女性登用率35%の数値目標を掲げながら実際には低下するなど、見過ごせない平等施策の逆行がいくつも見受けられます。東京都の男女平等参画施策のこれ以上の後退は許されないのです。

そのような中での高橋氏の委員就任と、審議会での今後の審議や男女平等参画施策の運びは、全国からの注視のもとにあります。
私たち東京都の男女平等参画政策の後退を憂慮する市民の会は、今後の審議会などを注意深く見守り、全国に発信し続けていくことを公表します。

呼びかけ人(五十音順・06.05.02現在);

赤石千衣子(ふぇみん)、浅井春夫(立教大学教授)、井上輝子(和光大学教員)、上野千鶴子(東京大学大学院教授)、江尻美穂子(津田塾大学教授)、戒能民江(お茶の水女子大学教員)、加藤秀一(明治学院大学社会学部教授)、亀永能布子(「女のホットライン」)、坂本洋子(mネット・民法改正情報ネットワーク)、佐藤文香(一橋大学大学院助教授)、俵義文(子どもと教科書全国ネット21)、東海林路得子(矯風会ステップハウス所長)、田中かず子(国際基督教大学教授)、中野麻美(弁護士)、丹羽雅代(アジア女性資料センター)、橋本ヒロ子(十文字学園女子大学教授)、細谷実(日本倫理学会・関東学院大学教員)、丸本百合子(百合レディスクリニック)、皆川満寿美(埼玉ベアテの会・大学非常勤教員)、三宅晶子(千葉大学教授)、若桑みどり(千葉大学名誉教授)、吉見俊哉(東京大学教授)、米田佐代子(女性史研究者)

東京都の男女平等参画政策の後退を憂慮する市民の会

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高橋史朗氏関連資料

■プロフィール;
1950 年兵庫県生まれ。早大大学院修了。米スタンフォード大学フーバー研究所客員研究員などを経て明星大学人文学部心理教育学科教授。NPO法人師範塾理事長、感性・脳科学教育研究会会長、埼玉県教育委員(教育委員長職務代理者)、埼玉師範塾理事長。PHP親学研究会主査 ほか

■社会的役職(元職);
臨時教育審議会専門委員
青少年健全育成調査研究委員会(自治省)座長
「日本の教育改革」有識者懇談会(民間教育臨調)委員
荒川区男女共同参画社会懇談会副会長(会長;林道義東京女子大学教授/当時)
「新しい歴史教科書をつくる会」副会長(1999~2004年)
PHP教育政策研究会主査 ほか

■著作;
2006 『子どもが生き生きするホリスティックな学校教育相談』学事出版
2004 『感性を活かすホリスティック教育』モラロジー研究所
2004 『親学のすすめ―胎児・乳幼児期の心の教育』(親学会編)モラロジー研究所
2001 『日本文化と感性教育―歴史教科書問題の本質』モラロジー研究所
2001 『検証・戦後教育―日本人も知らなかった戦後五十年の原点』広池学園出版部(再刊)
2000 『新しい教科書誕生!!』(編集)、新しい歴史教科書をつくる会編集、PHP研究所
1999 『講座 感性・心の教育(全5巻)』(編集)明治図書出版
1999 『「学校崩壊」10の克服法―親と教師はこう立ち向かえ』ぶんか社
1998 『臨床教育学と感性教育』玉川大学出版部
1997 『歴史の喪失―日本人は自らの歴史教育を取り戻せるのか』総合法令出版
1997 『歴史教育はこれでよいのか』東洋経済新報社
1997 『平和教育のパラダイム転換』明治図書出版
1994 『間違いだらけの急進的性教育―エイズ・性をどう教えるか』黎明書房
1988 『教科書検定』中公新書
1986 『総点検・戦後教育の実像―荒廃と歪みの構図を探る』PHP研究所
 ほか

■高橋氏による「ジェンダー(フリー)・バッシング」

●『正論』『産経新聞』などで、「性教育」「家庭科教育」「ジェンダーフリー教育」を批判する文章を多数執筆
2002年 『諸君』4月号 「ファロスを矯めて国立たず」
2003年 『正論』1月号 「それほど愛国心がお嫌いか―フェミニストに歪められる改正教育基本法」
(全文)http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01254/contents/727.htm
2003年1月27日 『産経新聞』朝刊 【解答乱麻】「“拠点”はやはり国立市」
(全文)http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01254/contents/726.htm
2003年 『正論』4月号 「過激な性教育の背景を暴く」
(全文)http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01254/contents/728.htm
2003年 『正論』7月号 「相次ぐ過激な男女共同参画条例制定 『家族解体』『伝統破壊』へと暴走する自治体」
2003年 『正論』11月号 「対談 フェミニズムへの反論決定版!! 良識の包囲網にボロを出し始めたジェンダーフリー論者たち」(林道義氏との対談)
2004年 『正論』7月号 「走り出した教育基本法改正と歪んだ抵抗勢力」
2005年 『正論』6月号 「教師諸君! 必要なのは貴方たちの覚悟だ」(上田清司埼玉県知事との対談)
(全文)http://www.sankei.co.jp/pr/seiron/koukoku/2005/0506/ronbun1-1.html

●2003 年12月、東京都荒川区に設置された「男女共同参画社会懇談会」で、林道義東京女子大学教授(当時)、八木秀次高崎経済大学助教授とともに、委員になった(林氏は会長、高橋氏は副会長)。この懇談会は、「報告書」を提出し、これに基づいて荒川区は「男女共同参画社会基本条例案」を策定したが、報告書、条例案ともに「男女共同参画社会基本法」の理念に反する論点を多く含むものであったため、問題化。条例案は、2004年7月の区議会で撤回された。

cf. 『論座』2005年3月号;「ジェンダーフリーたたきの深層」
http://www3.asahi.com/opendoors/zasshi/ronza/backnumber/f200503.html
 『世界』2005年4月号;「ジェンダーフリーって何?」
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2005/04/directory.html

●2004年12月、埼玉県教育委員に就任。委員会では、バッシング発言を行う。
*委員就任時、市民、教職員組合などから反対運動が起こった。理由は、「新しい歴史教科書をつくる会副会長」であったこと(同年11月に「つくる会」退会)、「民間教育臨調委員」であったこと(現在も委員を続けている?)。また、扶桑社版教科書の編集に携わっているのではないかと問われて否定したが、文科省は、翌年4月、国会質疑において扶桑社版公民教科書の監修者であったことを公にした(12月6日に扶桑社より削除申請があり、著作編修関係者名簿から削除)。このため、批判は続き、2005年8月の教育委員会では、社会科教科書採択時に退席した。
cf. 「教育と自治・埼玉ネットワーク」05.04.26声明「高橋史朗委員の辞任ないし罷免を要求する」
http://blog.livedoor.jp/kyoiku_jichi_saitama/archives/20147195.html

教育委員会での発言例
第1501回(2005年3月23日)
「また、職場における男女共同参画の推進という項目があります。このことについては、県議会でも逢澤義朗議員による質問があり、知事と教育長が答弁しています。男女共同参画社会が目指すものは、男女の人権の平等、同等化であると考えています。しかし、ジェンダーフリーという言葉が、一部で男らしさ、女らしさを否定し、男女の同質化を目指すものとして使われています。これは本来の男女共同参画、男女平等とは異なるものですので、混乱を避ける配慮をしてもらいたいと思います。」

第1515回(2005年8月24日);県立学校教科書採択審議
「もうひとつ具体的な意見を言いたいのですが、技術・家庭の家庭分野の教科書についての意見です。私は、常々学生に尾形光琳の紅白梅図を見せながら、紅梅と白梅の間に広い川が流れているバランスというものが大事だと話していますが、結論から言うと開隆堂の家庭科の教科書の家族に関する記述、あるいは取り上げ方は、バランスを欠いているのではないかと考えています。具体的に言うと、例えば176ページからの記述ですが、そこでは、私と家庭生活ということで家族の問題、家庭の問題が取り上げられていますが、その私と家庭生活の冒頭にいきなりさまざまな家族という見出しで家族の形は多様で時代とともに変化するということを強調しています。そして、それに続く見出しとして、家族の変化という見出しが出てきて、家族関係や役割が変化していることを強調しています。そして最後の締めくくりとして、183ページに振り返りというのがあるのですが、ここは振り返りによってどういうポイントを抑えるかによって狙いが分かるのです。そこには3点書いてあり、ちょっと読みますが、183ページです。さまざまな家族の形があり、その考え方も人によって異なるが、それぞれに尊重すべきことが分かりましたか。2番目は、家事の担い手について問題点を発見することができましたか。3番目は、家族関係の問題の解決のため、支援してもらえる人や団体、機関があることが分かりましたか。私はこのように書いてあることが問題だといっているわけではなく、バランスが取れていないということが問題だと感じています。つまり、これはかつて平成8年度に、高校の家庭科の教科書が18点のうち4点が不合格になったということがありましたが、その主な理由は、家族の基本ということよりも多様な家族ということを強調するのは主客転倒であり、学習指導要領の趣旨に従えば検定意見をつけざるを得ないということでした。中学の開隆堂の家庭科の教科書にも共通する問題点があるのではないかと考えます。特に締めくくりとしての振り返りには、学習の狙いが明確に触れられますが、家庭生活や家族について、中学生に学ばせるポイントが先ほどの3点で果たして良いのか、あまりに偏っていると、私は感じました。なお、自らが著作した高校家庭科教科書が不合格になった裏事情について、鶴田敦子聖心女子大学教授が朝日選書『家庭科が狙われている』という本で詳述していますが、この開隆堂の中学家庭科の教科書の著作者の中心的役割を担った一人は、鶴田先生です。鶴田先生は、この本で『家庭科はジェンダーフリーの意識で180度転換して位置付けられた。男女共同参画社会に向けては、ジェンダーフリー教育が重要である。ジェンダーフリー教育は学校教育の普遍的な課題である』という趣旨の主張をされていますが、このような男女共同参画とジェンダーフリー教育の混同を正すことが私は今後の埼玉県の教育改革の課題のひとつであると考えています。先日、上田知事から男女共同参画推進プラン 2010の見直しについての資料を渡されましたが、それを見ていましたら、男女共同参画の視点に立った教育、学習の充実という基本課題の中の、施策の基本方向の3本柱の冒頭に、ジェンダーフリーの視点に立った教育の推進と明記してあります。これについては、根本的に見直す必要があると思っていまして、今後、家庭科、特に家庭分野の教科書についても、その点を十分に考慮する必要があるのではないかと思っています。」

●他の発言具体例(全文確かめられたい)
・「過激な性教育の背景を暴く」『正論』2003年4月号
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01254/contents/728.htm
(最後の段落)
「性の自己決定権を子どもに教える急進的性教育やジェンダーフリー教育は、人類が祖先から受け継いできた「文化」という知恵の宝庫の解体を目指す、歴史否定・文化否定・道徳否定・家族否定の新たな革命運動に他ならない。このような過激な教育は国民の常識とは大きくかけ離れているにもかかわらず、大した抵抗もなく一人歩きし、空気のように広がりつつある。そこに、教育の歪みの深刻さがある。従来の戦術を転換し、「男女共同参画」「性的自立・自己決定権」の名の下に社会解体を目指す新たな教育革命運動を断固阻止しなければならない。」

・「「保育サービス」の充実が国を滅ぼす」@つくる会;ボイスリレー(2003年12月)
http://www.tsukurukai.com/15_web_voice/webvoice_vol05.html
 「マクドナルド化する効率的な社会に子育てを合わせるのではなく、子育ての意義と喜びを実感できる「親学」を継続的に学ぶ場を全国に構築し、親の意識改革を目指す親学ネットワークが必要である。『ジェンダーフリー』を提唱して『少子化対策』とするのは、糖尿病の治療に高カロリー食をすすめ、野生動物の生息する森をどんどん切り崩しておいて、一生懸命人工飼育しようとするようなものである。
 少子化の根因はジェンダーフリー論者が喧伝しているような「男女共同参画社会が確立していないことにある」のではなく、若い女性たちが、ジェンダーフリー教育やその延長線上にある家庭科教育などの影響を受けて、結婚・出産・子育てを自由を束縛し自己実現を阻む要因と考えるようになったことにあるのではないか。『親学』を広げることによってこのような意識を変え、少子化する社会そのものを変革し、少子化しない新たな男女「共創」社会を建設していく必要がある。地域社会のみならず、保育園(所)、幼稚園、小・中・高などのあらゆる場を『親学の場』として位置づけ直す必要があろう。」

・上田清司埼玉県知事との対談「教師諸君! 必要なのは貴方たちの覚悟だ」@正論(2005年6月号)
http://www.sankei.co.jp/pr/seiron/koukoku/2005/0506/ronbun1-1.html
「『男のくせに』『女のくせに』と言い過ぎたら問題ですが、男らしさ女らしさそのものを否定したらこれも問題ですね。両極端は排するというバランスが大切です。男らしさ女らしさそのものを否定するのが、ジェンダーフリーの行き過ぎた点だと思っています。」

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