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【パブコメ9/15まで】第6次男女共同参画基本計画案へのアラート② 性別二元制の強化、生殖に向けた女性の身体の管理

2025/09/10

第6次男女共同参画基本計画案への
アラート②:健康分野
性別二元制の強化、生殖に向けた女性の身体の管理

 

第6次男女共同参画基本計画のパブリックコメント(意見募集)が、8/26(火)~9/15(月)まで内閣府で実施中です。5年ごとに定められ、今後のジェンダー政策の方向を決める重要な計画案です。

 

センターでは計画案についての内部勉強会を行い、計画案の問題点を話し合いました。今回の投稿は、計画案のなかでも「健康」に関する内容に着目します。(前回の投稿:アラート① なぜ「ウェルビーイング」?

 

︎◾︎ パブコメ提出はこちら
e-Gov「第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)に関する意見公募について」
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095250820&Mode=0

 

アラート2
性別二元制の強化、生殖に向けた女性の身体の管理

 

性別二元論の強化

第6次計画は、人を生まれもった身体の特徴によって男・女どちらかの性別カテゴリーに永続的固定的にわりあてる、性別二元論をいっそう強化する恐れがあります。

たとえば、6ページの注31では、「人間には生まれついての生物学的性別(セックス/sex)がある。一方、社会通念や慣習の中には、社会によって作り上げられた『男性像』、『女性像』があり、このような男性、女性の別を『社会的・文化的に形成された性別』(ジェンダー/gender) という」とのべられています。

この説明は、身体的特徴による二元的な性別カテゴリーを強制し、ジェンダーをたんなる男らしさ・女らしさの問題に切り詰めており、性別二元的な社会の枠組みによって現に差別を受けているトランスジェンダーやノンバイナリーの人々への抑圧を強化しかねません。さらに、女性を生殖役割に押しこめ、女性の身体・セクシュアリティに対する管理を強化しかねません。

 

強調される「身体的性差」

第4分野「生涯を通じた男女の健康への支援」(43ページ)の冒頭にも、「男女が互いの身体的性差を十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりを持って生きて行くことは、男女共同参画社会の形成に当たっての大前提である」と書かれており、ここでも「身体的性差」が登場しています。

 

健康=妊娠・出産?

基本計画の「健康」に関する記述は、全体的に、妊娠出産に関わるプレコンセプションケア*や、学童期・思春期などの若者に対しての妊娠・出産に関する知識の啓発や、妊娠・出産を前提としたライフデザイン(将来設計)に力点が置かれています。リプロダクティブ・ヘルス/ライツは文字面としては書かれていますが、実質的には「産ませる」ための政策になっているのではないでしょうか。

*プレコンセプションケア=「女性やカップルを対象に、将来の妊娠のための健康教育を促す取組」のこと。

 

労働と健康

国家・地方公務員の女性に対しても「月経、出産等、個人差は大きいもののライフステージごとに特有の健康課題が存在することに留意して理解を促進する」(23 ページ) と、ことさらに女性の妊娠・出産に関わる「健康」について知識啓発を行うとしています。

労働に関わる健康問題は、産むこととの関係においてのみ関心が向けられており、労働条件の劣化による健康への影響や、人びとの健康を担う医療・介護分野の労働者の多くが女性であり、その労働条件が劣悪であることも軽視されています。

 

生殖に向けたセクシュアリティの管理

生殖に向けて女性のセクシュアリティを管理していこうとする姿勢は、第6分野に挙げられている「売買春の根絶」(75ページ)にもうかがえます。性と生殖に関する自己決定の権利の保障を軽視したままでの規制強化は、むしろ人権悪化につながるでしょう。

 

センターでは、計画案についてのアラートを今後も発信予定です。
ぜひ本アラートを広めてください。
パブリックコメントを出しましょう!

 

︎◾︎ パブコメ提出はこちら
e-Gov「第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)に関する意見公募について」
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095250820&Mode=0

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