ニュース

東京オリンピック・パラリンピックにおけるジェンダーにもとづく暴力・ハラスメント対策に関する追加質問状

2021/10/01

アジア女性資料センターでは、東京オリンピック開会直前の7月16日に起こった性暴力事件および、会期中の強制わいせつ事件やSNS上での性的指向や性自認をめぐるハラスメントなどを受け、東京オリンピック・パラリンピック関係組織に対して、「ジェンダーに基づく暴力・ハラスメント対策に関する質問状」を21団体の連名で提出しました。その後、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会および日本オリンピック委員会(JOC)より回答がありましたが、不十分と思われる点が多く、追加質問状を提出しました。各関係組織には10月末日までの回答を求めています。

2021年9月24日

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
事務総長 武藤敏郎様
ジェンダー平等推進チーム ご担当者様

公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)
会長 山下泰裕様

 

東京オリンピック・パラリンピックにおけるジェンダーにもとづく暴力・
ハラスメント対策に関する追加質問・要請状

 

先日は8月16日付「東京オリンピック・パラリンピックにおけるジェンダーにもとづく暴力・ハラスメント対策に関する質問状」に対し、組織委員会より9月5日付回答書を、JOCより9月6日付回答書をお送りいただき、誠にありがとうございました。しかしながら、いただいた回答の内容については、なお容易に理解しがたい点、納得できない点が多々あります。

いうまでもなく、東京大会の掲げた「持続可能性」「あらゆる差別等のない大会」「ジェンダー平等・多様性と調和」等の理念およびこれにもとづく計画・ガイドライン等は、実際の差別・暴力の防止および対応において具体的に実効性あるかたちで運用されて初めて意味をもつものです。その公的コミットメントがどの程度実践されたのか、関係者のプライバシーに配慮しながらも、開かれたプロセスによる客観的検証は不可欠です。「東京 2020 D&I アクション」に明記されているように、この目的のため、今後も「多様な人々との開かれた対話やコミュニケーションを継続」してくださるものと確信しております。

つきましては、9月5日付回答書に関する下記の追加質問について、10月末日までに、ぜひ責任ある部署の担当者の方々と直接、質疑応答・意見交換の機会を設けていただきますよう、あらためて要請いたします。ご回答は下記連絡先までお願いいたします。

 

追加質問

 

回答1について

  • 「持続可能性に配慮した運営計画」には、実際に問題が生じた場合、「組織委員会の人権労働等の問題を担当するセクションにて適宜問題を把握する体制を整える」とあるが(67)、具体的にどのセクションでどのような体制を整えたのか。実際の運用についてどのようにアセスメントを行う予定か。
  • 「会場における人権対応ガイドライン」はHP上にみつからないが、非公開資料なのか。公開できない理由があるなら内容について説明がほしい。

回答2について

  • 相談者のプライバシーに十分配慮しつつ、結果や評価を社会的に共有することは可能なはず。公開しないのであれば、結果をどのように検証して生かす予定なのか。
  • 暴力、ハラスメント対応について、IOC・JOC・組織委の三者間ではどのような役割分担がされていたのか。IOCのSafe Sportから通報された件数を組織委員会は把握しているか。

回答3について

  • 平昌でカウンセリングセンターが設置された経緯についてどのように理解しているか。今回カウンセリングセンターではなく窓口対応で十分と考えた理由は何か。
  • 「持続可能性調達コード」にもとづく通報受付窓口と、選手村の性暴力相談窓口との役割分担について知りたい。

 

回答4について

  • 「持続可能性に配慮した運営計画」には「組織委員会は、自ら人権侵害に関与していない場合であっても、管理権限を有するそれら関係組織に対して連絡通報を行い適宜適切な働きかけを行える体制の整備を図る」(68)とあるが、以下それぞれの事件について管理権限の認識および具体的にとった行動についてうかがいたい。不起訴とされた事件を含め、刑事ルート以外で被害回復のためのなんらかの支援は行ったのか。
  • ジェンダー平等推進チームの「東京 2020 D&I アクション」は人権侵害・差別の防止や適切な対応に関して何らかの役割を果たすのか。

 

回答5について

  • ボランティアや派遣労働者などが被害を訴えにくい立場にあることについてはどのような認識をもって対応を考えているのか。回答3でボランティア相談について担当職員が「適切に対応している」とは具体的にどのような対応か。非正規スタッフについてはどうか。
  • 実際に派遣会社を通して派遣された非正規労働者に、相談窓口の情報が確実に伝えられたかどうか確認しているか。

 

回答6について

  • 組織委のどの部署がいつまで対応を行うのか、精算法人の正式名称、責任者、連絡先を明らかにしてほしい。

 

 

返信・連絡先

NPO法人アジア女性資料センター
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町14-10-211
E-mail:ajwrc@ajwrc.org/ Tel:03-3780-5245/ Fax:03-3463-9752

質問状はこちらよりダウンロードできます。

質問状については、こちらをご覧ください

質問状については、こちらをご覧ください
DOCUMENTS